09




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きました。ええ、毎日来ますとも。
平日月火水木金、全ての放課後に部活の時間!!
帰りたい。それは猛ダッシュで。が、それを許してくれる人たちではないわけで。

あれ、私の平和な日常は?
普通の生活は?あれ?私帰宅部に入っているはずだったのに?
なぜ私は今だにバスケ部のマネージャーなるものをしているの?

いや、逃げようと思えばきっと逃げられるんだよ。うん。多分。
でも、なんでまだここにいるのかって?そりゃ、テツヤくんがあの子犬みたいな瞳をうるうるさせて私を見つめてくるから。断りたくても断れないんですよ。
なんでこんなにも私は彼に弱いのか。
というか、なんか今日は嫌な予感がするから、部活へ行きたくないというのが本音であります。ごめんなさい、こんなクズで。

このままサボってしまいたい。

「結衣さん、一緒に部活に行きましょう」
『……テツヤくん、私、職員室に寄っていかなきゃいけないから、先に行ってて』
「わかりました、待ってます」

ああ、その笑顔が辛いです、テツヤくん……!

ちょっとため息ををつきながら私は職員室に向かう。
先生の用事を少し聞いてから私は体育館へと向かう。……ん?なんか見たくないものが見えた気がする。

「あ、ちょっとーそこのきみー!」

……うわぁい、会いたくない人だった!!

『ごめんなさい、私忙しいんでー!!』
「え、ちょっと……ってか速っ!?」

私もびっくりだよ、こんなに速く走れるなんて!というか、これはあれか、トリップさせちゃったからおまけつけとくよー、のおまけか!?

体育館、私体育館に行かなきゃいけないの。うん。

ああぁぁぁぁぁあああああ、本当に部活へ行きたくないぃぃぃ!!

そ、し、て。

『おお、火神くんかっこいーね』

ちょうど、入って来た時に、火神くんが練習している時で、そのフォームがとっても綺麗だった。すごーい、すごーい。私はただそれだけを思っていた。

「結衣ちゃーん!マネージャー慣れた?どう?」
『リコ先輩!もちろん、マネージャーやめたいです!』
「却下」

ああ、冷たい。だって、だっていつも言ってるもの。でも、私だってやりたくてやっているわけではないもの…!

『ところで、リコ先輩、なんか嬉しそうにしてましたよね。やっぱり、練習試合の相手ですか?』
「よくぞ聞いてくれたわ、結衣ちゃん!」

そして、みんなが驚いた。

「海常高校と練習試合!?」
「そっ、相手にとって不足なし!一年生もガンガン使っていくわよっ!
「不足どころかすげぇ格上じゃねぇか……」
「そんなに強いんですか?」
「全国クラスの強豪校だよ。I・Hとか毎年フツーに出とる」
「ええっ!?」

はーい、話についていけてない人挙手ー。
はーい。
私だけですね。

「それよりカントク。帰ってきた時言ってたあれ、マジ?」
「アレ?」
「あれ、火神聞いてなかった?」

あ、嫌な予感………………。

「もちろん、海常は今年「キセキの世代」の一人、黄瀬涼太を獲得したトコよ」

わぁい。予想的中ー。というか、原作通りに進んでくれてありがとう。
……っていうか、なんか体育館騒がしくないですか?なんか、壇上の方、……え?

『……リコ先輩、これは一体なのが起こっているんでしょうか』
「いや、聞かないで。というか、本当になに?」


「あーもー……、こんなつもりじゃなかったんだけど…」


わ、うわーーん!!
全力で逃げ帰ってもいいですか!?

「……お久しぶりです」
「黄瀬涼太!!」
「スイマセン、マジであの…え〜っと…、てゆーか5分待ってもらっていいスか?」
『リコ先輩っ、いま猛烈にお腹痛くなったので、本当に帰らせてくださいー!』

私の心の平穏のために……っ!


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