小ネタ・くしゃみ
凍えるような空気の冷たさを頬へ感じ取る。
口を閉じていようとも漏れだす息は白く曇り、蒸気のようなそれは僅かな空気の揺れにも容易に影響を受け、徐々に拡散して鼻先を擽った。
「にゃあっくしょん!」
「……頭の悪そうなくしゃみだな。おいクラトス、お前の息子はどうした。空腹に駆られて猫でも喰ったのか」
「その役に立たない耳を削ぎ落とされたくなければ大人しく口を閉じていろ、ユアン」
「な、貴様」
「随分かわいいくしゃみだな、ロイド。寒いのだろう。大丈夫か?」
「かわいいとか止めてくれよ、クラトス。俺もう十七なんだぜ」
一人息子のこととなると極端に冗談の通じなくなる恋人の暴言へ、ユアンは「そこまで言わなくともいいだろう」と釈然としないものを感じつつ。息子といるときのクラトスには二度と構うまいと、親子から距離を取って、一人冬の寒さに震えたのだった。
[終]
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後書き
何で三人でいるのかは不明。
ユアンは人ン家の子供でも平気で「頭悪い」とか言いそう。くしゃみの頭悪いも何も無いけどね。
ロイドくんのダウン時の「にゃああああああ」が印象的過ぎて。