死ぬな、と。ただ強く願う

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【死ぬな、と。ただ強く願う】


　ぽたり、青い髪から垂れる水滴は、足元で意識を手放したまま地面へ転がる男を濡らしていった。血と土に塗れながら、雨風に晒される男。白い騎士服はすっかり濡れそぼり、泥水を吸って茶色く染まっている。しかし、それ以上に男を汚しているのは、赤黒く変色した血液であった。
「惨めなものだな、クラトス」
　崖の下に身を潜ませ、敵の気配をやり過ごす。冷えきった男──クラトスの頬に手の平を押し当てて、ユアンは眉をひそめた。芳しくない、それがユアンの見解であった。残念ながら青年に治癒術は使えない。仲間内で、癒し手を持つのは、今目の前に倒れている元騎士と、それからもう一人だけであった。
　早いところマーテルらと合流しなければ命に関わるだろう。
　ユアンは、舌打ちしたい気分をぐっと抑えると。崖の上を歩き回る軍靴の音に耳をそばだて、祈るような気持ちでクラトスを抱えた。


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後書き

なにかしらピンチな二人。
4000年前設定。

オリジン解放後のユアンに支えられる父さんが好きです。その後もエルフの里を後にするまで父さんの隣を動かないユアンが好きです。
なんかもう、ユアンコケればいいのに、とか思ってしまうほど好きです。
つまりは、ＹＫが好きなのです。