激しく、憎悪ともとれるような。そんな。（遼→惇）

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【激しく、憎悪ともとれるような。そんな。（遼→惇）】

　告げれば、冗談はやめろと止められた。
　一切喋らせまいと、息すら許さない様な力強さでこちらの口元を塞ぐ手は骨張っていた。同時に鼻の穴を塞ぐよう計算された位置どりである。壁に押し付けるかの如く押さえ付けてくる手を緩慢に掴む。喋りにくさから、顔を明後日のほうへと背けている男をどうにか止めさせようと揺するも、相手も抵抗を予期していたのであろう、しっかり足を踏ん張っており、多少の力で引いたところではぐらりともしない。返って余計に力を入れさせる結果となり下顎を砕かれるような圧迫感にいい加減息苦しさを覚えた。抗議するように硬い掌の下でもごもごと名を呼ぶ。己が魏に投降して以来、何くれと無く気にかけ世話をしてくれていた男の名である。くぐもった声は振動となって密着した男の手に伝わった。腹の底から出した大声に、夏侯惇は、びくり、と大袈裟なほどの反応を返すと、直ぐさま手を外した。こちらが掴んでいるのも無視するような急な動きだった。
「元譲殿？」
　訪ねるように出した呼びかけの声は案外はっきりとした声であった。ようやくこちらを向いた夏侯惇の顔は、
「……離せ」





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＊TOSの【ずっと、外を走り回ってきた子供のような。そんな。】と対になっています。
こっちのが書きやすいっていう。
＊当初上げていたのと大幅な改変有り。