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Children's Day


「マーティン、中華粽食べるー?」
「ああ、有り難う。……これ、ちうかちまき、って言うのかい?」
「そうそう、こどもの日にはこれを食べて祝うんだって、虎人の友達が言ってたんだ」
「……え、でもこどもの日ってまだ先じゃ無いかな?」
「へ?」
「こどもの日って、薪木の月二十七日だろう? 今日は栽培の月五日だから、四ヶ月以上開いているよ」
「そうなの?」
「そうなのって。ああ、もしかしてアカヴィルでは今日なのかな?」
「さあ、良くわかんないんだけどさ。粽どう?」
「うん、美味しいよ。有り難うスルト」
「うへへ、どう致しましてー」

「そうか、アカヴィルでは今日が……。それにしても、何処でも残忍な事件は起こるものだね」
「残忍?」
「こどもの日というのはね、昔とある地方で大勢の子供達が吸血鬼によって一夜にして誘拐される事件があってね」
「え!?」
「子供達は二度と帰って来なかったんだそうだ、こどもの日というのは、その事件を記す日なんだよ」
「えええ!?」
「最も百年程してからは若者を讃える日に変わって現在のような形になっているのだけどね」
「(……俺の知ってるこどもの日と違う……)」


[終]


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