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遼惇TVショップ最新TV編


*惇がオカマ口調
*諸葛亮と趙雲がネタ
*上記が平気な方のみお進み下さい。







 TVショップです。








 家電量販店。沢山のTVの前で腕組みをして悩む主婦・夏侯惇(29)

「ううん、悩むところね」

 軽く腕を組んで、首を左右に揺らす。そっと画面の右手に数歩下がったところで、悩める主婦の味方・張遼(27)画面左手、TVの後ろから流星の如くひらりと登場。

「やあ、元譲! お悩みのようだね」

「文遠! どうして此処に?」

 張遼両手を広げて画面中央へ。

「君の悩む声に駆け付けたのさ! さあ元譲、一体どうしたんだい? 僕で良ければ、相談にのるよ!」

「文遠。実は、TVを買い替えようかと考えているの。でも何を基準に選んだらいいのか全然解らなくて」

 困ったように片手の平を肩の高さまで持ち上げる夏侯惇に、張遼深く一度頷く。

「そうだね! 最近は地デジ対応だの3DだのLED搭載だのとTVも殊更話題性に事欠かないから、こんなにTVがあっては面倒になっちゃうよね!」

 周囲にあったTVを一掃する張遼。TVじゃんじゃか蹴散らされて四方八方へハケる。

「ええ、だって。どのTVがどれに対応しているのかなんて、見たって全然解らないもの!」

 夏侯惇、唇を尖らせて拗ねたように張遼を見る。そんな夏侯惇に張遼肩を竦めて優しく声をかける。

「元譲は特別家電に疎いからね! でも、そんな元譲でも大丈夫。今日はオススメの一品を持って来たんだ!」

「まあ、本当!?」

 画面切り替わりナレーション風に張遼の声。

『TVでお悩みのあなたに贈る、本日最大の目玉商品が、これだ!』

『超ハイスペック地デジ対応LED搭載3DTV。その名も《Syoka−2》!』

 画面戻って、舞台は家電量販店から自宅のセットへ。中央には新品の《Syoka−2》が設置されており、二人はその右脇へ立っている。張遼、片手で《Syoka−2》を示しながら左側へと回り込み、話し始める。

「今回は、あのGets A社の新商品を紹介するよ。見てご覧、この斬新なフォルム! 高さ180cm、横幅ソコソコ、奥行きまあまあのスレンダーボディーさ!」

「流石は家庭用虎型洗車や家庭用自動ドア《連戸》を開発したGets A社ね! 何処が画面なのか全然解らないわ!」

 身を乗り出す夏侯惇に、したり顔で頷く張遼。《Syoka−2》の腕を取って動かす。

「そうだろう? しかも《Syoka−2》は、この大きさで持ち運び可能のまさかのポータブルTVなんだ! 支えの部分になっている二本の足が齎す滑らかな動きによって、本体の重さを微塵も感じさせないのさ! だから、前後左右自由に動くよ!」

 張遼、《Syoka−2》を前後左右に動かす。

「前に後ろに、右に左に。もう一度、前に後ろに」

 腕を引っ張られる方向にうろうろと動く《Syoka−2》。夏侯惇、胸の前で両手を打ち鳴らし驚く。

「凄いわ! 二足歩行するTVなんて、世界初ね!」

「鈍足だけどね! 《Syoka−2》の凄い所は、それだけじゃあないよ。実はこの《Syoka−2》、リモコンが無いんだ!」

 《Syoka−2》を離して片手で示す張遼に、夏侯惇は戸惑うように低い位置で両手の平を逆さに差し出す。

「え! でも、文遠。それって不便じゃあないかしら?」

「リモコンの代わりに音声認識システムを搭載しているからね! 電源を入れるのも、移動させるのも全部自分の声一つで、出来ちゃうんだ!」

「呼べば答えるってやつね!」

「イマイチ聞き取りづらい声で返事をするけどね! そして元譲、このTVには優柔不断な元譲にはピッタリの機能がついているんだよ!」

「どういうこと?」

 不満そうに、解らないという顔をした夏侯惇に張遼は《Syoka−2》の上に左手を乗せて右手を腰へ。

「見たい番組が二つ有ってどっちを見るか決められない! なあんて経験、ないかい?」

「有るわ。でも、そういう時はどちらかを録画しt」

「そんなお悩みを亡きものとしてくれるのが、この機能さ!」

 《Syoka−2》に呼び掛ける張遼。《Syoka−2》電源が入ったかのように喋りだす。

「──れでは、続いて明日の天気予報です」

「天気予報ね、でも文遠。普通のTVとどう違うの?」

 夏侯惇、不思議そうに小首を傾げる。胸を張って張遼、指を一本立てた。

「よくぞ聞いてくれたね、元譲。何を隠そうこの《Syoka−2》! ニュースと天気予報しか流れないんだ!」

「凄いわッ文遠! チャンネルどころじゃないのね!」

 感動する夏侯惇に、誇らしげな表情の張遼は、更に説明を続ける。

「いつ何時TVをつけてもニュースと天気予報、ニュースと天気予報! 忙しい元譲にはぴったりだろう?」

「これで世界情勢から取り残されるなんてことは無いわね!」

「ニュースは専ら星見による訃報だけどね! 天気予報はまさかの的中率100%さ!」

「ヨシズミもびっくりね、文遠! 実は明日堤の修繕に行かなきゃいけないんだけど、晴れるかしら?」

「そうだね、聞いてみるかい?」

「え! いいの?」

「元譲の頼みだからね。もちろんさ!」

 鷹揚に頷いた張遼。夏侯惇ともに暫しの沈黙。一人でぼそぼそと喋り続ける《Syoka−2》の声に耳を傾ける。

「──続いては許都の天気です。許都は晴れのち曇り、ところによっては雨か雪が降るでしょう。突然の台風及び竜巻にはご注意下さい」

「流石ね! これは絶対に外れないわ!」

「何時だって傘は持ち歩けってことだね!」

「ねえ、天気図は見られないの?」

「勿論、教えてくれるとも!」

 言うなり張遼は《Syoka−2》に向かって無造作に天気図、と言い放つ。

「現在の天気z──定ぉーー山を通過中、梅雨!!」

「一日に数回、荒らぶるけどね!」

「……」

「大声なのは、ご愛敬さ!」

 唐突に声を張った《Syoka−2》に固まる夏侯惇。張遼、夏侯惇に向かって鋭くウインクする。気を取り直したように動き出した夏侯惇は、使命を全うするかのように口早にまくし立て始める。

「地デジや3DやLED、それにブルーレイは? どうなってるの?」

「地デジになっても勿論《Syoka−2》には関係無いし、3Dは見たままさ。飛び出してるだろう? それにLEDにも劣らない鮮やかかつリアルな見た目! ブルーレイディスクだって、受けとってくれるよ! 再生は出来ないけどね!」

「わあ、凄いわ文遠。殴ってもいいかしら!」

「おおっと元譲。プライベートなお願いは、あ・と・で! 頼むよ?」

「ええ、解ってる!」

 力強く頷いた夏侯惇に張遼はつらつらと必要事項を述べる。

「今ならお手入れ用のUSENもついて月々たったの2890円で設置までしてくれるよ!」

「すっごくリーズナブルね!」

「買うなら今! お問い合わせは、こちらまで!」

 画面に向かって右手を差し出す張遼。画面切り替わってお問い合わせ画面へ。ポップなネンドロイド曹操が同じくネンドロイドの曹丕、甄姫に囲まれて踊り出し、耳に残るお馴染みのメロディーと歌詞が流れる。

『ヤーバネット! ヤーバネットー! 夢のヤバネットcao・cao!』


「では、参りましょうか。夏侯惇殿」

「はあ? いや、ウチBR▲VI▲有るし」


[幕切]

*手違いから後書きを保存していたリンク先が削除されてしまいました。申し訳ございません。


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