さっきから
「……」
「……」
「……」
「どうかしましたかな、元譲殿」
「楽しいか」
「何がですかな」
「古典的な罠に引っかかって網で木の上までつり上げられた俺を、助けもせずに見上げて楽しいかと聞いとるんだ!」
「心外ですな。この張文遠そのような視姦じみた趣味は持ち合わせておりませぬぞ」
「ほう、ならその鼻から流れとるもんはなんだ。その鼻から流れとるもんは」
「元譲殿をいかに助けるかを熟考した結果の副産物です」
「よし解った。とりあえずお前もう、誰か呼んでこい。韓浩とか典韋とか淵とか韓浩とか」
「はっはっは。これは妙なことを申される。助けならば目の前にいるでは有りませぬか」
「鏡見てから言え、それがこれから人のことを助けようって人間の顔か! 絶対ろくなことにならんわ!!」
「今、今まさにこの張文遠、助けに参りますぞ。元譲殿おおおおおおおおおおおお!」
「こっち来んなああああああああ!」
──……さっきから鼻血が出てるんだけどね、近付かないで。
「ぅぐうおおおおおお推して参るぅうううう!!」
「ぎぃやああああああああああ!!!!!」