■tos | ナノ
帰り道を覚えているか


「僕は僕たちの居場所が欲しいんだ」
 少年は、そういった。
「何処に行っても疎まれる。僕は、僕たちの受け入れてもらえる場所が欲しいんだ」
 悲しげな、しかし蔑まれ続けたもの特有の卑屈さなど微塵も感じさせない表情で、その為に旅を続けてるいるのだと少年は真っ直ぐに見つめてきた。
「故郷はどうした」
 最も受け入れてもらえる筈の、その場所を聞こうとして、俯いてしまった少年に、騎士は言葉を飲み込んだ。故郷から追い立てられていなければ、旅などはしていまい。己の失言を恥じるとともに、騎士は少年の表情を曇らせてしまったことを強く後悔した。


[幕切]


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