月明かりが消えるまで
それが制限時間だと、ユアンは考えていた。
ことが動き始めた以上、もう途中で止めることは出来ない。衰退世界が滅びてしまうまでに、我々は──否、私は見つけなければならない。
失うことは恐ろしいと、叫ぶ己がいる。
だが同時に、これは己の使命に他あるまいと、逃げを許さぬ己もいる。
だからこそ、見つけなければならなかった。魔導砲が完成し、その発射の為に衰退世界のマナの濃度が調整されるまで。つまりは衰退世界が滅びの手前に陥るまでに、彼を救う方法を見出す。
シルヴァラントにある凡そ都市が、その生命活動の灯火を消してしまうまで。
それが期限だと、ユアンは、己の管理世界であるテセアラの空を見上げたのだった。
[了]