静かに首を振って
ユアンは首を横へ振り、クラトスを認めなかった。
「駄目だ」
「何がだ」
きょとんとしたクラトスへ、ユアンは少し口を閉じて、どうしたものかと言うように少し眉間へ皺を寄せた。
「駄目だ」
「だから何がだ」
寧ろどうしていいと思ったのかと内心突っ込みつつ、ユアンは吐きそうになった溜息を飲み込んだ。
「そういうルールだ。《馬》が動けるのは前へ二マス進んだ左右どちらかだけだ」
下がることは出来ん。
「……面倒だな」
呟きながら駒を適当に進めたクラトスへ、ユアンは無慈悲にも、己の勝利を宣言した。
[了]