■tos | ナノ
静かに首を振って


 ユアンは首を横へ振り、クラトスを認めなかった。
「駄目だ」
「何がだ」
 きょとんとしたクラトスへ、ユアンは少し口を閉じて、どうしたものかと言うように少し眉間へ皺を寄せた。
「駄目だ」
「だから何がだ」
 寧ろどうしていいと思ったのかと内心突っ込みつつ、ユアンは吐きそうになった溜息を飲み込んだ。
「そういうルールだ。《馬》が動けるのは前へ二マス進んだ左右どちらかだけだ」
 下がることは出来ん。
「……面倒だな」
 呟きながら駒を適当に進めたクラトスへ、ユアンは無慈悲にも、己の勝利を宣言した。


[了]


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