■tos | ナノ
別の形で出会っていたならば


「どうなっていただろうな」
 それは酒の席での他愛の無い問いかけだった。
「平和な世の中か、あるいは激戦の時代に生まれていたならば」
 どうしてそんな話になったのか、クラトスは切欠すら思い出せなかったが、特に気にならなかった。
「そんなもの決まっている」
 その仮定は無意味だと、グラスを手にした男が口端をにやりと引き上げる。
「知り合いにもなっていない。今の世だからこその繋がりというものもある。こうしてお前と酒を飲んでいることとて、一年前の己ですら解るまい」
 そのまま男──ユアンはグラスへ口をつけ。クラトスは違いないと苦笑すると、随分軽くなったボトルを手にしたのだった。


[了]


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