マシロ「奴等が住み着いてる川ってのが、この先にある谷の下にある」



暫く走った後、立ち止まってマシロさんが指差す方に顔を向ける
耳を澄ますと、ザーザーとかすかにだが確かに川の流れる音がする



マシロ「取り敢えずハヤト、お前が先に様子を見に行って来い」


ハヤト「え、俺ですか?」


マシロ「お前は背も低いし、餓鬼のクセに気配を消すのは上手いからな。偵察にはもってこいなんだよ」



背が低いのは余計だよッ!!

そりゃまだ9歳なんだから小さくて当たり前だろう!褒めてるのか貶してるのか分からない人だなホントにもう!!

「分かりましたよ…行って来ます」と渋々返事して、瞬身で直ぐに移動した
後ろでマシロさんが「何かあったら取り敢えず駆けつけてやるからなー」と、明らかに子供扱いしている言葉を聞いた気がしたがムカつくので無視した

だってマシロさんがニヤニヤしているのが分かったからな!!



ハヤト(悪い人じゃない…悪い人じゃないのは分かっているが、

あの人はある意味師匠より扱いづらい!!)



というかどうにもならないな、あの人は。マシロさんをどうにか出来る人なんて絶対ソフィア以外いない

募る苛立ちを何とか振り切り、身を潜めて谷底の様子を伺う
下は川が流れているが、どうやら思ったよりも底が浅いらしく、子供の俺でも簡単に足が着くだろう

写輪眼で辺りの様子を見回したが、抜け忍らしき人物は見当たらない

この近くにはいない…別の場所に移動したのだろうか
ひとまず、マシロさんの所に戻ろうと腰を上げた



ーシュッ!!


風を切る音がした
反射的に身体を動かし、右側に飛んだ。ザクザクッと、俺がいた場所には数本のクナイが突き刺さっていた

顔を上げると、木の枝の上に数十人もの抜け忍達が、各々武器を構えて立っていた



ハヤト(読まれてたのか…!!)



抜け忍側には、俺の動きは完全に読まれていたらしい
良く見てみれば、手配帳(ビンゴブック)に載っていた危険レベルがそこそこ高い抜け忍もいる

相手も、まさか子供の俺が偵察に来ているとは思わなかったらしく目を見開いている



「ナメられたもんだ。まさか木ノ葉がこんな餓鬼一人寄越して来やがるとはな」


ハヤト(あ、マシロさんの事は気付いていないんだな)


「餓鬼だろうと忍は忍だ。殺せ」



その一言を皮切りに、一斉に抜け忍達は襲い掛かってきた
おいおい、この人数は流石に面倒くさいんだが!!

だからといって、相手側が待ってくれる筈もない。千鳥刀を抜き、一番最初に俺に向かってきた抜け忍を斬り伏せた
あ、ちゃんと急所は避けたぞ、今回は討伐じゃなくて捕縛だから

…つか、マシロさんは何やってるんだよ!!「取り敢えず駆けつけてやるから」とか言ってなかったっけ!?



ハヤト(いや、いやいや待て!!これじゃ俺があの人をアテにしてるみたいじゃないか!!)



アテになんかしてない

たかが抜け忍相手に遅れを取っていては、またマシロさんに馬鹿にされる事は目に見えていた

俺だって、もう一介の忍なんだ

与えられた任務は、必ず真っ当してみせる



千鳥流し



バチチチチッ!!!
周りにいた抜け忍達はほぼ全て、千鳥流しを喰らって失神した

見たところ、俺が今倒した抜け忍の連中は下っ端の奴等だけだ
まだリーダー格の抜け忍を倒していない。だが、さっきまで木の上にいたその男の姿が見えないのだ



ハヤト「何処に行きやがった…」



写輪眼を使い、辺りを捜してみようかとチャクラを練り直そうとした時だ



ードッッ!!!


腹部に激痛が走り、腹に刀を突き刺されているという事に、気が付くのに時間はそう掛からなかった





3≠4