堅をぶっ飛ばして我に返ってみると、何か凄く開けた場所に出た。周りは岩場に囲まれてる小さい浜
へぇ、こんな所あったんだ


「堅んんんっ!!!!?ちょ、何で吹っ飛んだのっ!!?」


あ、一瞬忘れてた
晴曲君が飛ばされた堅に大慌てで駆け寄っていった
えっと…何か拳骨喰らわせる前にぶっ飛ばしちゃったけど…これ不可抗力だよ?いきなり飛び出されちゃったら避けられ無いじゃん!?


「け、堅、大丈夫?」

「………これが大丈夫に見えるか?」

「ごめんなさい」


ぐったりしてますもんね。本当にごめんなさい

「ていうか斗真、何で黒子抱えてんだよ?」と順平。…説明するのが嫌だ。俺めっちゃ情け無いよだって全力疾走で逃げてきたんだもん!!


「あぁ、もしかしてこんにゃくに驚いた?」

「「こんにゃく?(ですか?)」」

「歩くだけだとつまらないからな。御女中さんに頼んでこんにゃく振り回すように言ってたんだよ」

「…でも何でこんにゃく?」

「定番だろ?」


あのヌルヌルしてたのこんにゃくのせいかいっ!!!
確かに定番っちゃ定番だけど…え、皆こんにゃく当てられて悲鳴上げてたって事?

皆の方に顔を向けると、全力で顔を背けられた。図星かい


「でもよ、あの青白い手はやり過ぎだって!凄ぇ怖かったんだぞ?」

「…青白い手?」

「思いっ切り左手捕まれるわ何かひんやりしてるわ…見ろこれ、痕残ってるよ!」


ガッシリ掴まれたのか、くっきり手形が残ってる左手を堅達に見せる

すると、堅はパチパチとまばたきを数回した後………何故か顔を青くしてた。え、何で?


「堅?どした」

「い、いや、何でもない…。確かにちょっと演出凝り過ぎてたかな。御女中さんにも良く言っとくよ」

「?おう」


「斗真君!黒子君!それに二坂君達も早く集まって!」


そこへリコちゃんが駆け寄って来た
その両手には、スーパーとかで売ってる大量の花火

「今から皆で花火するわよっ!」と楽しそうに言うリコちゃんに、俺とテツヤは顔を合わせて、つられて笑った

花火とか何年もしてないんだけど!


「おーっし!一気に火付けよ!」

「だアホ!!一本ずつにしろ!危ないから!」

「「えーっ!!」」

「えーじゃねぇよ。てか春嫁までやるつもりだったんかい!」


あそこは相変わらずみたいだな…

舞尋君と俊は何か仲良く話してるなぁ。珍しい組み合わせだ
…多分ダジャレについて話してるんだろうけど。舞尋君だけだもんな、俊のダジャレの話についていけるの

木吉と冬来先輩はすっかり仲良くなってるし。…あの二人が揃うとツッコミ不在のボケだらけの無法地帯と化すけどな


「へー、日本の花火ってこんなんなんだな」

「斗真さん斗真さん、この花火の
色黄瀬君みたいですよ」

「あ、本当だ。じゃーこっちは真太郎だな。緑だし」

「花火やるの久し振りッスよー。こうして見ると結構カラフルッスよね花火って」

「だからって人の名前に例えるのもどうかと思うのだよ」

「いや、頭の色」

「尚悪い」


皆がカラフルなのが悪い。俺なんて元は色無しだぞ色無し


「あっ、これ打ち上げ花火じゃないか?」

「おっ!良いッスね!やってみましょーよ!」

「最近の花火って打ち上げ花火も売ってるんだな…」

「じゃあ最後の締めにやりましょうか!」


意気揚々とライターを取り出すリコちゃんに思わず苦笑い
学生が何でライター持ってるとか聞くなよ。花火するように持ってきてるだけだから!

リコちゃんに着けさせるのは(色々と)危ないから、俺が着ける事にした。えーと、此処に着ければ良いんだよな



ドォーンッ!! ドォーンッ!!

おぉーっ!市販の花火だからちょっと小さいけど、なかなかだなー


「たーまやーっ!!」

「かーぎやーっ!!」

「やると思った…」

「何だそれ」

「花火が上がると言うんですよ」

「へー…たーまやー!」

「綺麗だね〜」

「そうだな。夏に花火は定番だ」

「………!」

「ちょっと小さいッスけど、やっぱ花火は打ち上げ花火ッスよねー!」

「どれも同じなのだよ」

「とか言ってガン見してんじゃん」

「黙れバカ尾」

「酷ッ!!」

「この合宿が終われば…また地獄の練習が始まるんだな」

「…お互い様ッス」

「WCでは、お互い当たる時は覚悟しといてくれよ」

「へっ、そっちこそ覚悟しとけよ」


キャプテン同士で宣戦布告し合ってるよ。こりゃ今まで以上に気を引き締めていかないとな


「俺も早く斗真っちと試合したいッスよ!」

「俺は予選で当たるだろうがな」

「同じ地区だしねー」

「緑間っちズルいッス!!代わって!!」

「無茶を言うな!!」

「落ち着け真ちゃん!

まぁそれは、WCのお楽しみって事だな」


誠凛高校バスケ部に正式に入部してから、初めての大きな大会だからなぁ。先ずは予選を勝ち抜かねぇと



「頑張ろうな、テツヤ、大我」

「はい」

「当然だろ」



この合宿中、つくづく思った

こいつ等と同じチームで良かったよ、俺







(…ところで、斗真。ちょっと話があるんだけど)
(ん?何だよ)
(その…青白い手の人…なんだけどさ)
(あぁこれか。もう本当に怖かったんだからな!)

(………俺、仕掛け人頼んだの…こんにゃく振り回すの頼んだ一人だけ…なんだよね)

(………え、)
(それはつまり…)
(そういう事だよ…テツヤ)
(まさか本当に出るなんて………って、斗真さん!?)
(斗真っちが倒れたぁあああっ!!!ちょ!どうしたんスか斗真っち!!!)
(顔が真っ青なのだよ!!)
(おい!しっかりしろ斗真!!)
(斗真さん!)

(…今度叔父さんにお祓いするの頼んどこう)



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20≠20