数時間後…涼太と大我がガタガタ震えながら道を突き進んでいく様子を見送って10分が経った。遂に俺達の番って事だ
この待ち時間…何度先に行った奴等の悲鳴を聞いたかしれない
何なの?実は何か仕掛けてるんだろ?そうなんだろ!?
「斗真さん、行けそうですか?」
「だ、だ、大丈夫。ていうか皆行ったのに俺だけ逃げるとか駄目だろ。意地でも行ってやる(ホントはめっちゃ怖いんだけど…ッ!!)」
「(本当は、凄く怖いんでしょうけど…そういう意地っ張りなところも可愛いですよね)では、行きますか」
ギュッ、懐中電灯を持つテツヤが、俺の手を握って歩き始めた
何だろう…テツヤが今物凄く男前に見えるよ。こんなに頼もしい背中してるんだねテツヤって!!
リーンリーン…ッ
その辺で鳴いているであろう鈴虫の鳴き声が、もはや癒しじゃなくてこのホラー映画さながらの光景を更に恐ろしくするサポーターでしかなかった
こ、ここまでホラー苦手じゃなかった筈なのに…どうしたんだろ?免疫なくなったのかな!?
「斗真さん…?」
「え、な、何?テツヤ」
「いえ、あの…ちょっと手が痛いです」
「…あっ」
知らず知らずの内に、テツヤの手を強く握り締め過ぎていたらしい
うわハズイ!!めっちゃ怖がってるって事じゃん!!
「わ、悪いテツヤ!やっぱ手離す、」
「ヤです」
「何故!?」
「だって斗真さんと手を繋ぎたいんです」
「…そ、そうですか」
この子はこっぱずかしい事をサラッと言うね…こっちが照れるよ?
という事で、テツヤとは手を繋いだまま突き進むことに。…これ、端から見たら兄弟にしか見えてないんじゃね?
にしても、全然先が見えねぇんだけど!懐中電灯が無かったら本気でヤバかった
真っ暗闇を宛もなく歩いていけって言われてるようなもんだったよ。月明かりも木の枝とかが邪魔して全然差し込んでこないし
まぁ…でも、暫く歩いてたら割と慣れた…と思う
5分そこそこ歩いたけど、特に何か仕掛けがあるって訳じゃないみたいだしな
ホッとしたのも束の間、その時、
ぺちゃっ
「…っ!」
「へ、テツヤ!?」
テ、テツヤの顔に何か当たったっ!!!何あれ!?何か飛んでったけど!?
不意打ちだったのに驚いてか、テツヤはその場に尻餅をついた
「え、だ、大丈夫か!?」「はい、ちょっと驚きましたけど…」そう言うテツヤの顔には何か…ヌルヌルしたもんがちょっと付いてんですけど?何これ、何なんですかこれ!!?
ものっ凄く気になったけど、取り敢えずテツヤの顔を拭いてやろうと、ハンカチを取り出すべくズボンのポケットに手を突っ込んだ、ら………え゛っ
………俺の左腕を掴んでいる青白い手がありました
…ちょいちょいちょいちょいちょい待とう。落ち着こう。いやもう本気で落ち着こうっ!!!これはあれだ、テツヤの手だよね!?テツヤの手なんだよね!!?明らかにテツヤがいる所とは真逆の所から手が伸びてるけど此処にはテツヤと俺以外いないんだからそうだよ!!そうだと言ってよっ!!!!!
あはははは、堅の奴演出凝りすぎだって。はは、は、は………、
「テツヤ」
「はい?………えっ、」
「逃げるっ!!!!!」
「と、斗真さんっ!?」
パニックになった結果、全力逃亡を試みる事にした
テツヤが俺に続いて全力疾走なんて先ず無理な事だから、俺がテツヤを抱き抱えての全力逃亡だ
もう怖いなんてもんじゃねぇよっ!!!!?青白い手から先はもう見れなかったよ!?怖すぎて見れたもんじゃなかったよ!!?
恐らく今の俺の顔も凄いことになってるだろうけどさっ!!!
人一人抱えての全力疾走ってかなりキツいもんなんだろうけど今の俺にはそんな疲れとか全然関係無い状態です!!
振り落とされないようにテツヤが俺に必死にしがみついてるしね!!!
「と、斗真さんどうしたんですか!?な、何か見たとか、」
「何も見てないっ!!!そんな青白い細い手とかそんなん見てないっ!!!!!」
「(見たんですね…)」
もう堅の奴許さんっ!!!こんな演出凝らなくても良いじゃん!!そりゃ皆悲鳴上げるっての!!涼太達とかもう地獄だったろうよ!!此処抜けたら真っ先にアイツの頭に拳骨喰らわしてやるっ!!
これは暴力じゃないぞ!?正式な仕返しだからなっ!!?
無我夢中で走っていると、出口らしきものが見えた
やっと脱出か!良し、先ずは堅に一発…、
「おー、やっと来たか。皆待ちくたびれて、」
「あ」
「えっ」
「はい?」
ドッゴォッ!!!
…一発喰らわせる前に、いきなり飛び出して来た堅に激突しました
これ………完全に事故だよね?
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19≠20