「じゃーくじどうぞー」と、にこやかにリコちゃんがくじを差し出してきた
…もう俺達は反論する事も諦めたよ。するだけ無駄だもん。にしても、鉄ちゃんは大丈夫だろうか…。確かこういうの苦手じゃなかったっけ？
…でも、肝試しかぁ…ホラーは嫌いだけど、肝試しはする場所によるんだよな。墓地とかだったら勘弁だけど、林の中歩いたりするんならまだ平気かも
どうやら肝試しのコースは、堅とリコちゃんで前もって決めていたらしい
あの二人は俺達の知らない内に良からぬ事を企んでいるから困るよ
「斗真さん、次ですよ」テツヤに言われて、リコちゃんの持ってきたくじを引いた
全員引き終わり、誰と肝試しのコースを歩くかと、その順番が決まった。結果は、
1番、日向順平・夏風舞尋ペア
2番、木吉鉄平・秋瀬城介ペア
3番、高尾和也・冬来杏守ペア
4番、二坂堅・相田リコペア
5番、伊月俊・土田聡ペア
6番、緑間真太郎・春稼晴曲ペア
7番、小金井慎仁・水戸部凛之介ペア
8番、火神大我・黄瀬涼太ペア
9番、白祈院斗真・黒子テツヤペア
…と、なった。俺ってテツヤと縁でもあるのかな？何この一緒になる確率半端なくね？
別にテツヤと一緒とか嬉しいから良いけど………順平と舞尋君の確率も半端ないっちゃないな。大丈夫かよ、お化けも幽霊も逃げるよあの二人の険悪ムード見たら！
って、あれ？あの一年トリオは？何処行った？そういえば此処にくる途中からいなかったような
「降旗君達には別の準備があるから、先にコースの向こうに行ってもらってるわよ」
「準備？何の？」
「それは肝試しコースを、無 事 に、攻略出来たら教えてやる」
良い笑顔で"無事に"を強調すんなよ！！これ以上不安要素増やしてどうすんの！！見てみろ鉄ちゃんとか涼太顔青いぞ！！
てか、俺とテツヤ最後って…最後って！！一番先に行くより一番最後に行く方が怖いんだぞ！！誰もいなくなった状態で出発するからすんごく怖いんだぞ！？知ってる！？そのくじを引いた俺が悪いけど！！運が悪かったって事だけど！！
「10分ごとに出発するようにするから。ちゃんと自分の携帯なり時計なり見て確認して来てよね！」
「そのまま行けば…20分くらいで抜けれる距離だから大丈夫かな。そのまま"行くことが出来れば"」
「だから人の不安を煽るような言い方すんなって」
「ところで、そのコースは何処なんですか？」
「この直ぐ近くに"墓地"がある林があってね。そこだよ」
「ふざけんな」
一番最悪の状況下での肝試しじゃねぇかそれ
…あ、鉄ちゃんと涼太がもうこれ以上無いってくらい震えてらっしゃる
「じゃ、それぞれペアずつに懐中電灯を一つ渡すから、ちゃんと持ってないと怖いわよ〜」
懐中電灯一個とか不安にも程があるんですけど
取り敢えず、その墓地のある林とやらに移動する事にした
…もう、移動中涼太がガッタガタ震えてるもんだから、これ本当に大丈夫なのかよと本気で心配した。良く見たら大我も顔青いし…このペア大丈夫かな
「はいとーちゃく！じゃ、日向君と舞尋君、早速行ってみましょうか」
本音を言おう………行 き た く ね ぇ
何これ不気味にも程があるだろッ！！！何で一本道の両脇にビッシリ墓石置かれてんだよッ！！しかも新しいのからめっちゃ古いのまであるのが更にヤダ！！何これ落ち武者とか出て来やしないだろうな！！？
俺もう帰りたい、今物凄く帰りたい！！他のメンバーももう完全に黙り込んじゃってるし！！！
「…斗真さん、これはなかなか雰囲気がありますね」
「…雰囲気どころか本気で何か出そうな感じなんですけど」
「そう言えば叔父さんに墓地に遊びに行った子供が一時期行方不明になったって話を「それ以上言うな馬鹿ッ！！！」ごめんごめん、ちょっとそんな話を聞いたことを思い出したから」
もう本気で帰りたい
だがそんな望みが通じるわけもなく、順平と舞尋君は懐中電灯を片手に道を進んでいった
「泣いても知らねぇぞ」「それはこっちの台詞だよ」とか…相変わらずの険悪ムード全開の会話が聞こえたような気がしたけど…ほっとく
10分経って、続いて鉄ちゃんと秋君のペア。二人共顔が引きツりまくってるけど…
「くだらん、暗い夜道を歩くだけだ。幽霊などいるわけがないのだよ」
「………だ、だよね」
「とか言って怖いんじゃねーの真ちゃん」
「そんな訳な、」
「ギャアアアアアッ！！！！！」
……………空気が凍り付いた。え、今道の向こうから悲鳴聞こえたよね？バッチリ聞こえたよね！？
しかもあの声………秋君じゃなかった？
「少しだけ木吉の声も聞こえたな…」
「………南無阿弥陀物」
「何で念仏唱えてんだよ堅ッ！！！」
「え、だって安らかに眠って貰いたいだろ？あの二人に」
「まだ死んでねぇから！！多分！！」
…行くのが更に不安になりました
とにかく鉄ちゃん、秋君、無事に生還していて下さい
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18≠20