御女中さんに部屋に案内されて、俺とテツヤは思わず「「おー…」」とハモってしまった
二人部屋にしては結構広い。ということは三人部屋はこれ以上広いんだろうが、正直この部屋でも三人四人で寝ても問題ないと思う。無駄にでかい奴多いけど
「斗真さん、個室なのに露天風呂ついてるみたいですよ」
「マジで!?凄いな!それに眺めも良いなー。
海見えるぞ海!」
「本当ですね。やっぱり沖縄は海が綺麗です」
「なー。東京から行く海との違いが歴然っつーか。青々してるよな!後で行けねぇかな?あの海」
「多分………練習の為に行くんじゃないですか?」
「その言葉で俺のテンションは少し下がったよテツヤ」
前回の海での合宿を思い出したよ。あの時は真太郎の所と一緒に合宿したし(成り行きだけど)
「あ、浴衣がありますね」
備え付けのクローゼットの扉を開けたテツヤが言った
中には色んなサイズの浴衣が入れられていた。旅館だからあってもおかしくないか
「斗真さん斗真さん、後で浴衣着てくれませんか?」
「へ?まー…良いけど、俺のサイズあるかな」
「斗真さんならきっと着れます」
「どんな根拠?」
テツヤの言葉に疑問符を浮かべつつ、サイズを物色していると、何とか着られそうなサイズが一着あった
ところで、何で着てほしいのかテツヤに聞くと「見たいからです」…と、凄いどや顔で断言された
荷物も置いて、部屋がどんな感じなのかも分かったし、また大部屋に戻る事にした
ーーーーーーーーーー…
ーーーーー…
ーーー…
「………と、これがこの合宿中の練習メニューだ。各自きちんと目を通しておくように」
「後々メニュー内容が変わるかもしれないけど、その時は連絡するから」
メニューを見た感想は、まさしく… 殺 す 気 か ッッッ!!!!!…だった
このメニュー絶対あの二人が考えたよね?いや待とう、普段の練習メニューの3倍以上ばりに殺人的なんですけど!!?
全員顔真っ青だし!!いやでも冬来先輩は除外だ!いつもののほほんオーラ全開だった!何故このメニュー内容を見てあんなにのほほんと出来る!!?
「………カ、カントク…俺達殺す気?」
「やだぁー日向君。皆そんなヤワな男共じゃないでしょー?それとも5倍逝っと「かないッ!!!」そう?じゃー文句言わない」
「ちょ…堅さん、スパルタにも程があることナイデスカ?」
「片言になってるよ晴曲。それにスパルタとか今更じゃない?」
「(スパルタの自覚あったのね!!)」
「此処にうちの本監督いたら大変だったねー」と笑う堅の背中に悪魔の羽根が見えた
あぁ…あの鋼業の監督さんね。うん、いなくて良かったです
多分割り増しして5倍6倍にはなってたと思う。そんな事になってたら確実に皆一日目で死亡確定してた
「しかも今から早速練習!?」と慎二。リコちゃんは「あったりまえ」と笑顔で返す。長旅で疲労困憊だってのに容赦ねぇな
「だから今日は軽いメニューで抑えてるでしょ?」
「…これを軽いと言うか」
「舞尋、文句は「ない」オッケー」
………ヤベェ、どっかの赤い髪のあの人を思い出したよこの有無を言わさぬ言い方は。あ、ちなみに火神じゃないよ?
「じゃ!着替えたら旅館の前に集合ね!此処の旅館のプライベートビーチがあるらしくて、そこも貸切にしてもらったの」
「プライベートビーチ!?何それスゴッ!!」
「アンタ実は金持ちか」
「いや、俺はしがない一般家庭生まれだけど?親父が弁護士で母さんがパティシエってだけで」
「「「そこだ」」」
親父さんが弁護士って時点でお前は普通ではないでしょ…
知ってるよ?覚えてるよ?東京にあるお前の実家めっちゃくっちゃでかかったの覚えてるからね?庭とかあったのも覚えてるからね?
それでも全然嫌みを感じさせないのが、堅の良いとこだけどな
「じゃ、1時半に集合ね!」と言うリコちゃんの言葉を聞いて、自分のスマホの時計を見たところ………1時26分でした。後4分!!5分もないし!!
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7≠20