オリジン.




「名前、ニュースみたよ!あれ彼氏でしょ?すごいじゃん!」

ニュースが出た翌日、学校で友達から声をかけられた。先日、上鳴君と仲良くなってから、ヒーローについて調べるのが日課になったそうだ。
ミーハーだなぁ。

「うん、びっくりした。」

「彼氏に連絡したの?」

「いや、今忙しそうだから。」

「えー、いいじゃん。彼女なんだからさー。」

返答に少し困っていると、友達はそれを察したように話題を変えた。

「ヒーローについて色々調べてたらさ、ヒーロー関係の仕事って結構あるんだね。有名なのってヒーロー事務所の事務とかじゃん。マイナーだけどヒーローの道具開発とかカッコいいよね!」

「道具開発…って、雄英のサポート科の人たちがなるやつだよね?」

あまり詳しくはないけれど、ほとんどの人が雄英のサポート科から出てるイメージだ。
テレビの灼熱大陸で、サポートアイテムの職人さんが出演しているのを見たことある。

「そうそう。でも、それ以外に大学出て、素材開発とかする人もいるらしいよ。」

「素材開発?」

すぐに話題は変わってしまったけれど、なぜかその単語が頭の中で引っかかっていた。
家に帰って調べてみると、個性の研究をして、個性由来の素材を作るベンチャー企業のサイトが出てきた。
創業者のコメントの部分をクリックしてみる。

『私達は、ヒーローのヒーローになりたいんです。守られるだけじゃなく、彼らを守るサポートアイテムを開発したい。サポートアイテムの職人は数多にいますが、そのサポートアイテムのより良い素材を作る、開発するという事がこれからの超常社会には必要になります。あなたも私達と一緒に、ヒーローを守る力になりませんか?』

要約するとこのようなことが書かれていた。

「ヒーローの、ヒーロー。」

創業者のプロフィールを見る。恰幅の良いお爺さんが出てくると思ったけれど、写真は四十代くらいの女性だった。

「士傑高校ヒーロー科から、関西技術大学サポート器具開発技術研究科へ入学し卒業。渡米してサポートアイテムの開発技術を学ぶとともに、素材開発にも着手する。現在は、大学教授…って、レベル高っ!」

経歴のすごさに驚くのと同時に、ワクワクとした気持ちが胸に浮かぶのがわかった。

「…私にもなれるかな。」

自然と口にでた言葉に、驚く。
こんなに強す何かになりたい、なんて望む気持ちは今までなかった。
誰もが幼い頃には目指すヒーローも、自分の個性ではなれるものではない。

こんな私がヒーローのヒーローになんて本当になれるのかな。
不安な気持ちと、夢に向かいたいという気持ち。
鋭児郎もこんな気持ちでヒーローを目指しているのかもしれない。

ぐっとマウスを持つ手に力がこもる。

「あ、勢いでクリックしちゃった…」

パッと変わった画面が示すのは研究所のメールボックスだった。研究所へとメールが送れるらしい。
返信されているメールを見てみると、研究所についての質問などが送られていた。
質問とか送れるんだ…。

たどたどしい手つきで質問を入力し、もう一度マウスをクリックした。

「返事、くるかな…?」










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