『かわいいところ』.




瀬呂範太という人間は、器用な性格で、バランスを取るのが上手いのもあるし、俯瞰して物事を見れるんだろうなと思う。
彼氏と彼女になって、より近くなって、それなりに範太がいっぱいいっぱいになる所とか、かわいい所を見ることも増えたけれど。やっぱり余裕というか、スマートというか…そんな所の方が多くて。

「…範太くんの、かわいいところが見たいです。」

「俺はいつでもかわいいです。」

もっと、範太のかわいくて、情けない所が見たい。
付き合って、勿論なんていうか…某先輩風にいうなら、蜜月な男女のまぐわいといった…そういうこともある。
いつも私ばっかり、余裕がなくなるほど甘やかされて、意地悪をされて。たまには立場が逆転してもいいと思う。

「だめ?」

「だめっていうか…なんというか。俺にも俺の範太くんにもプライドというものがあってだな…」

「形勢逆転系のやつとか、好きじゃない?」

「うぐ、好きな時もあるけど、、」

範太の部屋着の袖を引いて、軽く背伸びをして。
あざといのは百も承知でキスを一つ。踵を地につけてから、上目遣いでもう一度だめかを尋ねる。

「はぁー…確信犯でやってんのがムカつく、」

「あざといの好きでしょ?」

「大好き、よくわかってんね」

頬を大きな両手に包まれて、また唇を重ねる。
最初は、ちゅむ、とかわいいものから。それを何度か繰り返して、私が微かに目を開けると…範太がわずかに口角をあげる。そのまま人差し指をスライドさせて、ずぽっと耳に栓をされた。

「っふ、んぅ…!?」

それと同時に口付けが深くなっていく。じゅ、ちゅぶ、ぢゅ…と脳に直接音が響いた。
ぐちゅ、ちゅ、じゅるる…待って無理、やばい…!!
上手く息継ぎが出来ずに肩で呼吸をする私を見て、範太はしてやったりと笑う。悔しい…!!

「で?形勢逆転、だっけ。」

溢れてしまった唾液を拭いながら睨むと、範太は余裕たっぷりといったように「できそう?」と尋ねてくる。言外に、「そのザマで?」と聴こえてきてムカつく。

「出来るから!!そこになおれ!!!」

本来はこんな個性の使い方はよろしくないのだけれど、水で手枷を作り、範太の自由を奪う。
範太の範太くんを取り出して、武器を手にした私は無敵の気分だった。

「あのー…名前サン?」

「なに?」

「ちょっと待て、なに?じゃねーよ!こっちのセリフ!!」

何持ってんの!?それ!!と指さされた私の手には、ローションと、ガーゼ。もう一回言っとこう、ローションとガーゼだ。

「まじで…誰から聞いたの、それ…」

「なんか峰田が言ってた。私が訓練で潤滑油操ってたら、潤滑油って響きエロいよな…だって。調べてみたら、こーゆーことかぁって思ったの。」

「こーゆーことかぁ!じゃねーんだわ…」

ローションも液体、ではある。一応私が操れる範囲にあるから。普段はローションではなく機械用の潤滑油をつかって敵向けに罠を作ったりしているんだけど…って、そんなのはどうでもよくて。
ローションを個性で操って、範太の範太くんを筒状に覆う。

「んぁっ…!!」

そのまま上下に汲むと、範太は身体をビクビクと振るわせながら、奥歯を噛み締めていた。

「っふ、ぁ…はぁっ、、!」

唇の隙間から漏れる息は熱っぽくて、興奮しているんだとわかる。

「よしよーし、もっと気持ちよくするからね?」

直毛の髪を撫でてあやすように言うと、範太は舌打ちをした。彼女に舌打ちはだめでしょ、とローションにぐっと圧を込める。締め付けて、汲んで。たまにウネウネと動かす。

「フー…フー…っぁ、ん"ん……っつ、!」

「私、触って無いよ?なんでそんなにビクビクしてんの?」

額の髪を除けて、ちゅ、とキスをする。範太は私が余裕がなくなっている時に、こうやってするから。なんか、範太の気持ちわかるかも。

「…おい、やめ…っ!」

「やめてほしい?そっか、じゃあ違うのするね、」

手に持ったガーゼを、亀頭の部分に当てがう。範太は、目を見開いて、さっきまでよりも大きく身体を震わせた。
ちゅこちゅこ、ちゅこ…とガーゼを動かしていけば、ローションのせいなのか、先走りのせいなのか、どんどん滑りが増していく。

「っあ!…く、やめ…あぁ"…!!!まじ、やばい…って…!!」

「かわいい、」

快感を逃そうと…眉根を寄せる範太の目には、涙が滲んでいる。それを見ると私もなんだかゾクゾクしてきて、もっと範太をなかせたい、と手を早めた。

「ぅ、ぁ…ばかっ!!出、る…って!あ"ぁっー!」

ガクガクと膝を震わせて、範太は自分の精を放った。
まだガーゼを当てがってからは、そんなに時間は立っていないのに、まるで潮みたいに吹き出したそれを見て。範太の表情を伺おうと、そっと目を移す。
はー…はー…と荒い息をあげながら、据わった目でこちらを睨む範太に嫌な予感。

「…名前、」

「はい…」

「俺も、名前ちゃんのかわいーとこが見たいんですけど…ねぇ、ソレ貸してくれる?」

ソレ、と範太が顎で差したのは、私が持っているローションとガーゼ。思わず喉から出てしまった、ごくりという音に、範太はニヤッと口角を上げた。







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