ファミレスでやりがちなアレ.




今日は土曜日ということで、勝己君と愉快な仲間たちと一緒に勉強会だ。待ち合わせしたファミレスで、カルピスソーダを啜っていると、少しして彼らがやってきた。

「悪いなっ、名字!ちょっと遅くなった!」

「大丈夫だよー、私も今きたところ。」

切島君と瀬呂君、上鳴君が向かいに座り、店員さんにドリンクバーを注文する。

「おい、詰めろや変態女。」

勝己君が顎でしゃくる。
待って!隣!?心の準備してないってば!
内心、ドキドキしながら席を詰めると、勝己君は隣に座り参考書を広げた。

上鳴君と瀬呂君がバチバチとウィンクしてくるあたり、この席順は仕組まれたんだろう。
くっそ!ありがとう!!

ちょいちょい、ノートで叩かれながら問題を解いていくと、段々皆も分かってきたようで、問題を解くスピードが上がる。

「勝己君、これ解き終わりました!」
「爆豪、俺も終わった。」
「俺も俺もー!」

切島君に解説をしていた勝己君に、回答を見せる。少し計算が複雑で式が多い問題だからか、勝己君から少し待つように言われた。

「なーなー、名字ってさ、爆豪の追っかけみたいなしてるけど、どうして爆豪なわけ?こいつクソ下水煮込みみたいな性格じゃん。てか、どうやって知り合ったの?」

「誰がクソ下水煮込みだ!アホ面ァ!」

突然上鳴君から振られた話題に、思わず咳き込む。
急すぎない!?びっくりするよ!
しかも本人目の前に居るし…公開処刑みたいなもんだよ!?

「俺も気になるわ。フツー、爆豪ってヒーロー科以外のやつは怖がるもんじゃねぇの?」

瀬呂君が、怒鳴る勝己君を無視して続けた。これ、話すまで終わらないやつじゃん。
てか、勝己君へのスルースキル高いのすごいな…。

「えっと、知り合ったきっかけは、体育祭で1位だったし、PVの課題はこの人だったらよさげなの出来るんじゃないかなって思ってだけど…」

なんだか落ち着かなくて、ストローでくるくると飲み物をかき混ぜる。手持ち無沙汰な気持ちだ。

「勝己君ってさ、愚直じゃん。馬鹿みたいに真っ直ぐにハードルっていうか障壁にぶつかって体当たりで超えていく感じがしてさ。絶対苦しい思いとか人一倍してるのに。…私は日和見で、うまくそういう壁みたいなのは避けて生きてきたから、取材していくうちに、かっこよくて憧れたんだよね。」

つい熱がこもって、一息で言い終えると、勝己君から、採点し終えたノートを顔に押し付けられた。

「…馬鹿みたいには訂正しろ。」

「あっ、ごめん!勝己君はちゃんと考えてるもんね!コスチュームとか実用性高いし!」

「ったりめぇだ。つーか、急に気持ち悪りぃんだよ!褒めても課題は減らさねーからな!!」

勝己君が怒鳴るように言う。
ここ一応お店だから、いくら低音イケボでも限度あるよっ、もう!
あと、ノート押し付けるのそろそろやめて…!
ただでさえ低い鼻が潰れるっ…!

「おい、爆豪そろそろ名字潰れるって!」

瀬呂君の一言で、なんとか危機から脱した。
ありがとう瀬呂君。君は恩人だ。

「名字ー、俺のドリンク注いできてくんね?」

「えー、上鳴君自分で注いできなよ!」

「だって俺、野郎二人退かさなきゃいけないのよ?そっち爆豪だけだし!頼むっ!なんかシュワッとしたやつね!」

「しょーがないなぁ。」

勝己君が席を立ってくれたから、ついでに自分のグラスも持って、ドリンクバーに行く。

シュワッとしたやつかー、炭酸水にしたら怒るかな?
いや、色々混ぜた方が面白そうだし…あっちゃんにめちゃくちゃ怒られた伝説の名前スペシャルをお見舞いしてやろう。

コーラと、オレンジジュースと緑茶とアイスコーヒー。梅昆布茶少々。おまけにガムシロップとミルクをいれ、席に戻っていると呆れたような瀬呂君の声が聞こえる。

「爆豪さ、照れたからって女の子相手にアレはだめでしょーよ。」

「っるせぇ!!照れてねーわクソがっ!!」

「嘘だー!耳まで真っ赤だったじゃん!俺のアシストに感謝しろよな!!」

「おいおい、そろそろ名字帰ってくるって!静かにしろよ!」

切島君、遅いよ。もう聞いちゃったよ!!
勝己君照れてたの!?かっわい…!
赤面勝己君見たかった…カメラで連写したかった…。

無念さと嬉しさと興奮とが入り混ざった気持ちを落ち着けるために、名前スペシャルを飲み干した。

まっっっず!!






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