ラブコメしてんな.




昼休みは、皆食堂に行くからか、A組の教室も閑散としていた。
勝己君の隣に座り、教えを乞いながら問題に取組む。

「そこ、違ぇ!補助線引くのサボんな!!」

「補助線ってどこ引くんですか…?」

「ッチ…!直線PQに平行に引け!辺ABと点Cが交わるようにだ。」

点C、と辺ABかを交わるように…。
点C…てんし…?勝己君は私の天使!

「くだんねーこと言ってねぇで取り組め!変態バカ女!」

口に出ていたようで、バシンとノートを筒のように丸めたもので叩かれた。
でも、くだらない事言ってないと、心臓保たない…。

「こんな罵声と愛の鞭とか…なにかに目覚めるよ!?」

「…くたばれ。」

ゴミを見るような目で見られた。
勝己君が私を叩いたノートを袖で軽く拭く。汚物のような扱いを受けた、ひどい。

変態女から変態バカ女へのランクアップを経て、言われた通りに補助線を引くと、先ほど習った定理が使えるのがわかった。

「先生、これで合ってますか?」

軽く舌打ちをして、私が解いた問題に勝己君が目を通
す。「どの定理使ったかもちゃんと書けや。減点。」と三角をつけられた。
最初はどうなることかと思ったけど…勝己君と普通に出来てる。
指摘通りに回答を書き直しながらそう思った。

「お、名字っ!爆豪といるの久々に見るな!」

「切島君に会うのも久しぶりだねー」

昼食を終えたであろう切島君がノートを覗き込んで、うわっと呟いた。
切島君も…勉強苦手そうな見た目してるもんなぁ。

「お前ら昼飯は?」

「さっきまで購買で買ってきたやつ食べながらしてたんだ。受験生以来だよ、こんなの。」

もちろん、爆豪先生にはパンを3つ献上しました。
ハバネロカレーパン、ホットチリドッグ、激辛チキンマヨパン。匂いだけでもウッてなったもん。
窓開けて換気しないと咽せるレベル。

「こりゃ大変だなぁ…俺も爆豪に教えてもらってるけどよー、こいつきっびしいよな!」

激しく同意だ。間違ったらノートで叩かれるもん。

「うるせぇ!!喋ってねーで手を動かせ!」

「いったぁ…!」

また叩かれた。ぴえん。
あれ、ぴえんってもう流行ってないんだっけ?

「クソ髪ィ!お前もだ!赤点とったら殺す!」

切島君も即座に席に戻ってノートを開き始める。

次の問題は応用問題だ。さっきの勝己君のご指導をもとに、取り掛かる。
…あ、いけそう。

「できた…!」

私の呟きに反応して、勝己君の顔が近づく。
睫毛なっが…!!
色素の薄い睫毛が光に透けて、勝己君の赤い瞳に影を落とす。
しかも、なんかいい匂いする!!さっきのパンの香辛料の匂いに混じってふわっと甘い匂い。
物間は香水の匂いがしたけど、勝己君はなんか違う。
体臭がほんのりと甘い感じ。女の子のシャンプーみたいな…!かわいっ…!

軽くトリップしかけていると、ゴツゴツとした手が、ノートに丸く朱色の線を走らせた。

「…説明聞いて出来る能力持っとんだから、ちゃんと授業聞いとけ。」

勝己君の手が伸びてきて、額に衝撃が走る。

「アウチッ!!なんで!!」

デコピンとは思えない衝撃来たよ!ヒーロー科怖い!!
普通よく出来た時の鉄板はアレじゃない?頭ぽんぽんとかじゃないの!?

「鼻息がキメェんだわ。」

「…勝己君が甘い匂いするからじゃん!」

バチバチっと勝己君の手から爆発が起こる。
あ、やばい怒った。

「ァア”!?てめぇの方が甘ったるい匂いするだろーが!」

「待って、怒り方違くない!?それなんか恥ずかしいよ私も勝己君も!」

何!?私どんな匂いしてるの!
いつのまにか教室にいた何人かがヒューっと茶化す。ヒーロー科怖れ知らず過ぎるよ!

「おい、爆豪!爆破はやめろって!」

切島君が間に入って盾になってくれる。
切島君こそA組の良心だ…。

切島君を拝んでいると、ドアの開いた音と同時にバチバチの火花がスッと消えた。

「騒がしいと思ったら…お前らラブコメすんのは構わんが、最低限のルールは守れ。」

ドア付近に、目ん玉かっ開いた相澤先生がいた。
舌打ちをして、勝己君が手を下ろす。
切島君が「さーせん!」と頭を下げた。とりあえず空気読んで頭下げとこう。

「経営科の…名字、だったか?お前も教室戻りなさい。もうすぐ予鈴なるぞ。」

「あっ、はい。」

参考書をまとめて、耳郎さんに席を借りたお礼を言い、教室を出る。

先生が、「経営科テスト大変だな。がんばりなさい。」と無駄に良い声で声をかけてくれたのが今日のハイライト。






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