まっかだな.
ミスコンの投票時間も終わり、あっちゃんから制服をゲット。勝己君のブレザーを着てることは、勘の鋭いあっちゃんにはすぐにバレて、ニマニマされた。
自分の制服に袖を通すと、勝己君のブレザーとの大きさの差を改めて実感する。
男の子なんだなぁ、って当たり前か。
結果発表の前に返しにいかないと。
勝菊と切島君が行きそうなところはどこかな、とパンフレットをみながら歩く。
「あ、物間。」
「名字じゃないか、さっきのパフォーマンスは悪くなかったけど、萌え萌えきゅーんっだっけ?トチ狂ったのかと思ったよ!もう投票は終わったようだけど、まぁ勝つのはB組拳藤だからね!」
「あーもう、うるさいな!勝てる気してないってば」
「ハンッ、だろうね!」
鼻で笑うのムカつくなぁ。
ストール貸してくれたのはありがたかったけど、感謝の気持ちも吹っ飛ぶくらいだ。
「あ、これありがとね。返すわ。」
そう言って渡すと、物間は受け取りながら私の手元を凝視していた。
「なに?」
「それ、ヒーロー科のブレザーじゃないか。誰の?」
「あー、勝己君…えっと爆豪君の。なんか爆豪君も貸してくれた。」
「ふーん…。」
A組を敵視してるからか、物間はおもしろくなさそうな顔をした。
体育祭の時、勝己君に絡んでたしなぁ。
鈴木君から貰ったDVDを思い出す。
「ねぇ、名字。」
「なに?」
「好きだ。」
好きだ?だれが、だれを?
突然の言葉が、物間の意図が飲み込めない。
「気が利いた言葉の一つも出てこないくらいには、僕は名字 名前に惚れてるよ。」
ぽん、と頭に触れられる。
カシャっとシャッター音がして、さっきもこんなことがあったな、なんて頭の隅で思った。
「君にもこんな顔できるんだな。」
不敵に物間が微笑んで、意地悪く言った。
「アレアレェ?顔が赤いよ?」
「っうるさい…。」
いつもの煽りよりも、甘い口調に胸が詰まる。
物間も顔赤いくせに…。
「まぁ、返事はゆっくり考えてよ。」
もう一度私の頭に触れて、物間は去っていった。
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