ミスとはなんぞや.




文化祭前日。もうDVDの準備を終えて、クラスの子の出し物を手伝おうと教室に戻ると、あっちゃんから衝撃の事実を告げられた。

「は?ミスコン!?」

「そう、出るの。名前がね。」

ミスコン…?自分で言うのも悲しくなるが、私は容姿が秀でているわけではない。よくも悪くも平均って感じだ。ミスコンって、拳藤さんとか、波動先輩みたいな美人がでるやつでしょ?
あ、ちょっと別枠で絢爛崎先輩とかもいたけど。

「なんで私が!?あっちゃんみたいな美人が出るためにあるのであって、私ではない!」

「名前、あんたはうちのクラスが何科だと思ってんの?」

「経営科だよ!目立たず、地味に、の経営科!」

「私たちが将来勤める仕事は、経理やヒーローのプロデュース。サポートアイテムの売り出し戦略を考えるのもあるわ。つまり!普通に美人を出している場合ではない!ミス平均点みたいなあんたをミスコンで戦わせるためにどう売り出すか!これぞ経営科のミスコン!!」

息継ぎなしで話すあっちゃんの肺活量に感嘆しつつ、つまりは皆のお遊びとして出されるのね、と合点がいった。
平均点って軽く貶されてるよね。ちょっとくらいかわいいとか言われたかった…。

「ちなみに、先日鈴木が渡した爆豪のDVDは買収材料です。受け取った者に拒否権はありません。」

「くそっ、だまされた!!」

伏線を回収されたような気持ちになって、凹む。
前日に言ってきたのも、私が棄権することができないようにだろう。
さすが経営科、抜かりはない。

「でも!衣装とか、パフォーマンスとかどうするの!?私の個性とかカメラだよ?なんのパフォーマンスにもならないしっ!」

「そのへんにも、僕ら経営科には抜かりはないよ。
衣装は製作済み、パフォーマンスも練ってある。だからとりあえず、安心して今日は寝てよ。」

鈴木君め、私の純情を買収という手段に使いやがって…!

「ほら、名前、顔に出てるって。怖いから早く寝な。」

あっちゃんに促されて、そのまま無理やりエレベーターに入れられる。
強制送還じゃん。
皆の強行手段には正直ムカついたけど、今までの少し暗い気持ちを吹っ飛ばしてくれたのはありがたかった。

部屋に帰ると、着信音がなった。

「もしもし?」

「ねぇ、名前!君、ミスコンに出るのかい!?なんで平凡かつ平均点な君が!?」

「あー、物間うるさい。経営科の遊びで出されるの!自分の容姿が平凡なのはわかってるってば!」

「ハッ、平凡さについて理解しているならよかったよ。同じ中学の仲として、名前が場違いを自覚せずに出場してしまったら僕の面子にも関わるからねぇ!」

物間の鬱陶しい絡みを受けたことによって、やっぱり先ほど感じた少しの感謝の気持ちは、いとも簡単に消え去った。






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