ごーるどてぃーなんちゃら苦い.
「皆さん、名字さんが気がつきましたわ!名字さん、大丈夫ですか?」
目を開けると、そこには聖母がいた。
お乳が頬にあたっている。たまらん。
「大丈夫だよー、ここは?」
「A組の寮よ。名前ちゃん。」
蛙吸さん。かわいい。
てか、A組の寮?なんで?
「名前ちゃん、倒れてしまったようなの。爆豪ちゃんが運んできてくれたのよ。」
「勝己君が!?」
なんてこった。運ばれる瞬間を見逃したの?私のばか!もう知らない!
勝己君のお姫様抱っことかいう夢のシチュエーション。思う存分堪能したかった。
「俵担ぎだったわ。」
「俵担ぎ!!」
それは私の臀部に勝己君の手が触れたってこと?
ハレンチ!!
「興奮すんな、きめぇ。」
「あ!勝己君!ありがとう、運んでくれて。てか、今何時!?帰んなきゃ!」
時計をみると、もう10時を指している。
自分の寮に帰らないと!
「なんか、むやみに動かすのも危ないし夜も遅いから泊まらせていいって先生から言われたよ!経営科の寮は少し歩くからね。」
緑谷くんの言葉に、体に衝撃が走った。
お泊まり…?
確かに私のクラスのK組の寮は端のクラスだし、ヒーロー科と他の科は防衛的な感じで距離とられてるから、A組の寮からは歩くけど…。
「勝己君と合法的に一つ屋根の下って…!!」
「部屋は別よ。」
「だよね!!」
ベッドが大きい八百万さんの部屋に泊めてもらえるらしい。聖母と同じ部屋とか、緊張する。
その後、お風呂にも入れてもらったけど、八百万さんのシャンプーがいい匂いするし髪が生まれて初めてレベルでサラサラになった。ヒーロー科すごい。
「女子の風呂あがりってなんかエロいよなぁ!上鳴!」
「わかるぜ峰田!クラスの女子じゃなくて、名字っていうのがポイントだよな!」
「かよわそうな感じするもんな!A組の女子とか比べるとゴリラだせぇ〜」
峰田君が耳郎さんにボコボコにされてるのを見ながら、八百万さんが入れてくれた紅茶を頂く。ごーるどてぃーなんちゃらってすごいなぁ。
見渡すと、みんな文化祭にむけて準備をしていた。
すごいなぁ。経営科とかサポート科は体育祭で活躍できない分、文化祭への思い入れがすごいけど、うちのクラスと同じくらい、いやもっと熱量をもって取り組んでる。
「なんで、こんなにがんばれるんだろう…。」
ヒーロー科は、勝己君を見てたらわかるけど、毎日のトレーニングだってあって。ハード。
きついはずなのに、少しくらいの手抜きだって学生なんだから許されるはずなのに。
「ねぇ、尾白君、なんでA組の皆はこんなにがんばれるの?きつくないの?大変じゃない?」
そばに居た尾白君に尋ねると彼は少し悩んで言った。
「きついし、大変だけどさ。やっぱり、皆ヒーローになるから。なんでも全力でやりたいんじゃないかな。」
「…そっか。」
ヒーローに、なる。なりたいじゃないんだ。なるんだ。
なんか、胸が冷たくなった。
私にもヒーローのプロデュースっていう夢がある。
でも、こんなに熱を注げてはないな。この人達と、自分とは賭ける思いがちがう。
自分とA組の皆との差を感じて、生まれたモヤモヤのせいで、その夜はあまり眠れなかった。
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