私は赤葦くんが大好きだ。美男美女が多いと巷では有名な梟谷学園の生徒の中でも、群を抜いてかっこいいと私は思う。私は赤葦くんの顔も声も仕草も好きだし、赤葦くんのことならなんでも知りたいし、赤葦くんの好きなものを私も好きになりたいとも思う。対赤葦くんほど人を好きになったのは初めてで、はじめのころは感情のやり場に困ってしまったけど、今ではバレー部ファンにまじって陰から赤葦くんを見つめている、立派な赤葦くんファンだ。
赤葦くんは、バレー部の中でもそこまでキャーキャー言われてはいないと思う。私がバレー部を見ている感じ、だけど。バレー部には木葉さんとか木兎さんとかみたいな目立つ人がたくさんいるから、当たり前といえば当たり前かもしれない。でも部活中の赤葦くんはますますかっこいし、そもそも赤葦くんのおかげで木兎さんはスパイクを決められるわけだし、とにかく赤葦くんはすごくてかっこいい。
「赤葦くんかっこいいなあ…」
「えー分かんないなー。あたしはやっぱり木葉さん派!」
「見る目ないなあ、みっちょん」
やっぱり普通は木葉さんにいくのだ、みんな。木葉さんは女の子好きだし、話しかけたらそれなりに相手してくれるし。赤葦くんが無視するとかそういうことではないんだけど、赤葦くんはちょっと口下手な感じだから。
「じゃあ逆に聞くけどさ、」
「なにさー」
「あんたは赤葦のどこが好きなの?」
「え?」
赤葦くんの好きなところ、なんて挙げようと思うと挙げられない。だって知らない間に好きになっていて、どんなところを見てもどんなことをしていても赤葦くんが好きなのに。
「部活中の赤葦くんの嬉しそうな顔とか悔しそうな顔とか、木兎さんと一緒にいるときにちょっと楽しそうなところとか、頭がいいところ、顔も声も、仕草も…」
「へえ」
「でもいちばんは、手が冷たいところかなあ」
「手?」
一度だけ握ったことのある赤葦くんの手。夏の暑い日、サッカーでずっこけた私のけがを赤葦くんが治療してくれた。そのときの赤葦くんの手が夏なのにすごく冷たくて、びっくりしたのを覚えている。涼やかな瞳とか落ち着いた声色とか、大人みたいと思ったものだ。
「…手も好きだけど、とにかく私は赤葦くんが好きだから」
「あっ、げっ」
「え?」
さっと顔色の変わったみっちょんの視線の先を追うと、大好きな彼がいた。ぱあっと舞い上がったのも一瞬で、すぐにそれまでの私の発言が聞かれていたであろう事実に気がつく。うわああ、さいあくだ。恥ずかしい奴だと思われた。
「あ、赤葦く、」
「それって俺、どういう風に受け取ればいいの?」
「…………告白?」
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