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名字名前、16歳の女子高校生。彼女は現在進行形で困っていた。見知らぬ暗闇の森の中、体に合わないサイズの服の中でひたすら困惑していた。


『何!!?どこよココ!!?』


彼女の叫びがこだまする。イマイチ状況を飲み込むことの出来ない自分がいる。いつも通り眠っていて、少し肌寒く感じて目が覚めたら、自分の部屋ではなく、何故かこんな森の中に横たわっていたのである。それも不思議だが、なにより自分の目線がいつもより格段に低いことに驚きを隠せない。着ている服はサイズがぶかぶかだし、手も足も小さい。しかも体が超絶軽い。


『えええええ…、何この名探偵コ○ンみたいな展開…。別に毒薬とか飲ませられた憶えなんてねーし』


自分の体の状態を確かめようと、あちこちを触る。そこで気付くのは、首に掛かった少しの重みと冷たい金属の感触。それに両手首と、両脚の外側の腰のあたりからくるぶしにかけての違和感。そこには十字架のタトゥーのようなものが埋め込んであった。…そう。まるでD.gray-manに出てくるノアの聖痕や、リナリーの足首に出来たイノセンスの十字架によく似ていた。


『…え?あ、いや…。いやいやいやいやいや!!!まさかそんな訳ないじゃん!!?』


ある一つの可能性が頭に浮かぶが即座に否定する。きっとこれは夢だ。感覚がリアルすぎるだけの、夢なんだ。だってまさか。まさか、トリップなんてものが実際にある訳がない。きっとあれだ。昨日、ちゃんと予習するとか宣言しておきながら、実はサボって夜中の1時位までPC漁ってた罰が当たったんだ。きっとそうだ、うん。…と、若干現実逃避のようなことを考える。そして、いつまでも座り込んでいるわけにもいかないので、ぶかぶかの服を所々結んでなんとか着ることができる状態にし、月明かりを頼りに歩き出す。目指すは何処か泊まれる所である。野宿は死んでもイヤだ。そう思いながら歩いていると、前方からいきなり爆発音や銃声が聞こえてくる。


『え…。何これ、フラグ?』


イノセンスらしきものを持ってる+爆発音や銃声=AKUMAが出て来る(オマケ付き)
こんな感じの式が頭に浮かぶ。イエ---イ!!!フラグ立っちゃったー!!!!全力でへし折ろう。


「ニンゲン…ニンゲンダ…」
「クワセロ…クワセロオオオオオオッ!!!!」
『んぎゃあああああああっ!!!!ちょ、こっち来んなボケエエエエエエエエッ!!!!』


木々の間から出現したレベル1複数体。絶叫しながら必死に逃げ惑うが、所詮は子供の体。逃げ切れないだろうと諦めかけていると、段々とレベル1の声が小さくなっていく。え?と思い振り返ると、自分とAKUMAとのキョリは意外と開いていた。しかも全然疲れていない。


『は…。まさかのチート??』


やったネ!!!最強設定だよ!!!!ならばこっちのもんである。試しにイノセンスを使ってみようと、ネックレスに着いている金色の板に手を伸ばす、…が。


『このイノセンス、名前なんて言うんだ!!?』


イノセンス4つ位あるんだから名前分かんなきゃどれが発動するか分かんないじゃん!!!走りながら頭をフル回転させていると、いきなり頭の中で声が響いてきた。


【主様!!我が名は“紅”(コウ)。全てを切り裂き闇に葬る、紅(クレナイ)のイノセンスです!!】
『…え??何これ幻聴??』
【幻聴ではありません主様!!主様は我々イノセンスの声が聞こえるのです!!!】
『うええええ…。何じゃそりゃ…』
【取り敢えず主様!!私を発動させて下さい!!AKUMAを破壊しましょう!!!】
『はいはいっと…。…“紅”、発動!!!』


そう叫んだ瞬間、2つあったうちの1つの板が柄に変わり、そこを掴んでそのまま引っ張ると1本の日本刀になった。


『うお……、かっこいい…』
【行きましょう!!主様!!】
『普通に斬っちゃっていいんだよね?』
【もちろんです!!主様にお任せします!!】


紅の言葉を聞くやいなや、刀を構えて走り出す。8歳の子供には少々重いであろう刀も、イノセンスの力なのか、羽を持っているように軽い。これなら思い切り振りかざせそうだ。AKUMAとのキョリが近付いたところで跳躍し、一刀両断する!!!破壊した瞬間、AKUMAの魂が「ありがとう」と言ったのが聞こえた。


(魂の声まで聞こえるとか……。まぁ、お礼言われるのは悪い気はしないんだけどサ)


ある程度のAKUMAの破壊が済んだところで、一休みしようと動きのスピードを緩める。……と、今まで戦闘していたことで視野が狭くなってしまっていたのか、段々と周りが見えてくる。すると自分から少し離れたところに、本の中で飽きるほど目に焼き付けていた、捜索部隊の隊服を着た男たちが、目を丸くしてこちらを見ていた。
思わず口元が引き攣る名前。



『こんばんわ、黒の教団』



(名字名前、16歳の女子高校生。)
(トリップしたら、8歳の最強エクソシストになりました。)


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