夢から覚めたら
「うわあああああ!?!?!?!?」
「……ん、ななし…どうした?」
「…っ、はぁ……な、なんでもない…」
目を開いて周りを見れば畳と木の天井、自分の寝ていた布団、そして同棲中の愛しい恋人、蓮巳敬人の姿があって安心した。
以上に汗ばんだ自分の体をタオルで拭きながら、私の声で起きてしまったまだ寝起きの敬人を見る。
いつもより、少しだけ早い起床。
しかし、もう眠りたくないと私は布団から出てぐっと背伸びをする。
「どうした?
二度寝はしないのか?」
いつもならこれくらいの時間に起きると、もう一度寝る…が、今日は眠るのが怖いのだ。
「……ごめん、今日はいいや」
「安心しろ、今日は休みだ」
「…そういう問題じゃないの」
敬人は眉間の間に皺を寄せる。
眼鏡を外したままの彼もやはり素敵だ。
「ななし、こっちにこい」
私が先程まで寝ていた布団のスペースをポンポンと叩き促す。
大人しく入ればぎゅっと抱き締められる。
「…怖い夢でもみたのか?」
「………はは、バレた?」
「当然だ。全く…ななしは分かりやすいな」
優しくそのまま頭を撫でられる。
すると、安心からか少しずつ睡魔が襲ってくる。
「うっ…、やだ、敬人…寝たくない…」
「大丈夫だ、枕はひっくり返しておいた」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「安心しろ…もし、寝てる最中にうなされていたら、起こしてやる」
「…助かります」
「本当なら、夢の中ででもななしを助けに行きたいんだがな」
敬人はそう言うと苦笑した。
彼がそんなことを言うのは珍しい。
きっと、私を安心させる為の気遣いなんだろうけど。
「敬人、ありがとうね」
「ななしは気にするな、安心して寝ろ」
おやすみ、と言って敬人にキスをされると、微睡んだ視界には優しく微笑む敬人が見えた。
次に見る夢はどうか幸せな夢でありますように。
夢から覚めたら幸せをくれる彼が傍にいるの。
今朝怖い夢をみて、ハッとしていつもより早く目が覚めたら、今日は早出の日でした。
ありがとう、悪夢。
でも、もうホラーな夢は見たくない…。
きっと、悪夢を見ると蓮巳先輩は枕をひっくり返すタイプだと思う。
私もひっくり返すマン
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