寒い冬の日


ふうっ、と息を吐くとほわりと白い息が見える。
かじかんだ手と息で改めて冬の寒さを実感した。
寒い日に手袋を付けず買い物なんか行くべきではなかったと、少し後悔しつつ買い物の持ち手を持ち直した。
女の子が手を冷やしちゃダメだよ、なんて数日前に羽風君から言われたばかりだ。
すると、正面から見覚えのある人物が見える。

「ななし、どうした。
買い物帰りか?」

私の彼氏の敬人だ。
丁度学校帰りだろう、生徒会は本当に大変なんだとつくづく思う。

「うん、ちょっと色々と買っておかないといけないものがあってね」

「…凄い量だな。
何か持つぞ、1つ2つ袋を貸してみろ」

気遣いは嬉しい。
けれど、やっぱりこんな遅くまで生徒会の仕事をしてきたのに疲れていないはずがない。
そんな彼に持たせるのは申し訳ない。

「大丈夫だよ、ありがとう」

「…はぁ、貴様は本当に度し難い。
別に無理をする必要はないし、そこまで気を遣うな」

「いや、だって敬人は生徒会の仕事でお疲れでしょ?
流石にそんな敬人に持たせるのは申し訳ないよ」

「…はぁ…なら、せめて家まで送らせろ。
1人で帰すわけには行かないだろう」

「ありがとう、敬人。
迷惑かけてごめんね…」

私がそう言うと敬人はため息を吐いた。

「寧ろ俺としては頼って欲しいところだがな。
…彼女に頼られて嬉しくない男が何処にいるんだ」

「っ、え…?」

突然の言葉に少し戸惑ってしまう。
それと同時に敬人が自分の恋人であることに嬉しさと照れくささで頬が熱くなる。

「ねぇ、敬人。やっぱり片手の荷物持って」

「…やっぱり重かったのか」

私の手から敬人はそっと荷物を持ってくれる。

「重かったわけではないけど…」

すかさず私は荷物を持ってない手で敬人の空いた手を取って指を絡め恋人繋ぎをする。

「なっ…ななし、貴様っ…」

「…ごめん、嫌だった?」

悪いことしたかな、なんて思っていると繋がれた手に少し力を入れられる。

「いや、そうじゃない…が、少し驚いた…
たまにはこういうのもいいな」

そう言った敬人の耳が赤くなっているのは寒さのせいなのか、
または照れているのかは分からないが、
少し嬉しくなった。

「…私は大好きな敬人となら毎日してもいいんだけどね」

にやける口元をマフラーで隠しつつ言うと、
敬人から本日数回目のため息が聞こえた。

「本当にななしは……ふっ、敵わないな…」

聞こえたため息はどこか嬉しそうだった。


寒い冬の日
隣に貴方がいれば温かい


久々に書いたので日本語大丈夫かな、とか思っちゃったりです。
なんか冬って寒さを口実にイチャイチャして欲しい。

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あからこ

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