本日、晴天なり!


本日、晴天なり!

「今日は晴れてて暖かいね!絶好のお出掛け日和だ!」

「うむ、ななし殿とこうして出掛けることができて本当に良かった」

雲一つないいいお天気の日にこうして神崎颯馬君と一緒に買出しに出かけている。
颯馬君とは仲が良い。
ついでに言うと、颯馬君が所属しているユニット『紅月』のリーダーの蓮巳さんに片想い中であり、
颯馬君にもよく相談している。
一応蓮巳さんとお話したことはあるけど、挨拶がやっと出来る程度。
話しかけようと思っても、やっぱり緊張してしまう。

「ところで、ななし殿は蓮巳殿と出掛けたりはしないのだろうか?」

「いやいや、まだそんな段階まで行けないよ」

首を傾げて颯馬君は悩んでいるようだ。
私のことなのに自分のことのようにあれこれ考えてくれる颯馬君は本当に優しい。

「うむ…、ななし殿は、蓮巳殿の何処に惹かれたのだ?」

「…!!
それはね!!」

そんなことを聞かれると答えたくなるのが、
乙女の性分というか、なんというか…
蓮巳さんの話をすると私は一晩中喋れそうな気がするくらいに好きで、
とにかく蓮巳さんのいいところを述べていく。

「しかも、前なんてああいうこと言ってたのに、
最近だとそういうこと言うでしょ?
でね、そのうえこんな感じだし…
もう、本当にそういうところ好き!
それにs「神崎」ヒャァ!?」

話の途中に、私と颯馬君以外の声が背後から聞こえた。
とても聞き覚えのある声だ。

「蓮巳殿!!」

そう、先程の話題の人物、蓮巳敬人さんだ。

「ななし……街の中で叫ぶな。
びっくりするだろうが。
そもそも惚気話など街の中でするな。
いくら神崎のことが好きだといえ、聞いているこちらが恥ずかしくなるだろ」

蓮巳さんの話からすると、きっと私と颯馬君が恋人同士だと思っているのだろう。
しかし、否定しようにも片想いの相手である蓮巳さんになんと説明すればいいのやら…

「蓮巳殿!ななし殿は蓮巳殿を想っているのであって、
我と恋仲ではないことをどうかご理解いただきたい」

んんん!?!?あれ?颯馬君…?
それ爆弾発言というやつでは。
ダメだ…さよなら、私の恋。
失恋確定だわ…、いや、颯馬君が悪いわけじゃないんだけどね。
目頭が熱くなり、目にじわりと涙が滲む。
蓮巳さんは半泣き状態の私を1度見てため息をついた。

「神崎、デートという訳でなければ、
少しななしを借りる」

「承知致した」

2人はそんな会話をし、蓮巳さんは何故か私の手を引き、今いた場所を離れる。

「あ、あの…蓮巳さん…?」

しばらくして人気のないところまで来ると
蓮巳さんはハンカチを取り出し未だに目に溜まっていた涙を拭き取ってくれる。

「…ったく、街の中で貴様は大声をあげて驚き、
俺は不審者みたいな目で見られ、
神崎は街の中でとんでもないことを言い出し、
それによってななしが泣き出す…
下手をすると警察を呼ばれてもおかしくはない状況だ。
流石に俺はあんなところに長居は出来ない」

「…すみません」

唐突にお説教が始まりなんというか申し訳なさと、
先ほどの恥ずかしさとがごっちゃになる。
相当なご迷惑をお掛けしてしまった。
涙が再び滲み、ボロボロと零れ落ちた。

「泣くな」

再びハンカチで目元を拭ってくれる蓮巳さんの優しさが息が詰まりそうなほど嬉しくて切なくて。
尚更涙は溢れかえるばかり。
すると、ふわりと身体全体に温かいなにかに包まれた。
……蓮巳さんに抱き締められている。
気付くのには少し時間がかかった。

「…さっきの神崎の話は本当か?」

「さ、さっきのですか…?」

「貴様が…ななしが、俺を想ってると言っていただろ」

「…っ」

ああ、今度こそ本当にフラれてしまう。
しかし、ここはケジメをつけよう。
いっそのこと、当たって砕けよう。

「…そうですよ、ずっと前から蓮巳さんが好きです。
さっきも颯馬君に蓮巳さんの話をしてたところで、丁度蓮巳さんが後ろから声を掛けてきたって感じだったんです。
だから驚いてしまいまして…」

私がそう言うと蓮巳さんは、さっきまで抱き締めてくれていた体を離し、
私と同じ目線になるよう少ししゃがんだ。

「…俺もだ」

そう言った蓮巳さんの顔は少しばかり赤くなっている。
何に対して同じなのかが分からず、
キョトン、としていると蓮巳さんは再び口を開いた。

「俺もななしが好きだと言っているんだ」

すぐに私の顔に血が集中し、沸騰するかのように熱くなる。

「え…でも、蓮巳さん…私なんかで…」

「ななしでなければ駄目だ。
そこまで言わないと分からないのか…
まあ、いい。これから、ああ…その…恋人として頼むぞ」

「…はい!」

元気よく返事すると蓮巳さんが満足そうに笑った。


空も恋模様も

本日、晴天なり!

実は一部分私の体験談だったり。
らこめちゃんと街に遊びに行ったとき、
らこめちゃんに鬼龍先輩について熱弁してたら後ろから声を掛けられてびっくりして叫んでしまったのですが、
声をかけてきたのはまさかの職場の直属の上司。
街の中で叫んだ(私としては自覚なし)ため、翌日怒られましたよ…ええ。
つか、取り残された颯馬君どうするよ…

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あからこ

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