勘違いの2乗


※なんでも許せる方向け。
下ネタっぽい。


「ねぇ…英智君!ちょっと待って…!!」

「待たないよ」

生徒会室の前まで来るとななしと英智の声が聞こえた。
ななしと英智が揉めているようだ。

「暴れないでほしいな、上手く入らなくて痛い思いをするのはななしちゃん自身なんだから」

「…っ、でも…」

「ほら、ちょっとだけだから」

そのまま会話を聞いていると何かを入れているようだ。
しかし、上手く入らないとななし自身が痛いということは、ななしに英智が何かを入れているのだろう。
………ななしに、入れる?
頭に浮かんだのは如何わしい光景だが、まさか英智がななしにそんなことをする訳が無い。
それに、英智はななしと俺が恋人同士で、付き合っていることを知っているはずだ。

「んあああああ!!英智君!!痛い!!」

「ごめんね、でもこれで大丈夫だよ。
きっと気持ちよくなるから」

「あっ、液が…っ」

「ふふふ、凄いでしょ?」

2人の会話のこの先を聞きたくない、
そう思うと勢いよくドアを開けた。

「ななし!英智!何をしているんだ!?」

生徒会室の机の上で仰向けになっているななしと、覆い被さる英智。
これは完全に浮気か。
脳裏を過ぎった見たくなかった光景と、今目に見えている光景が一致している。
夢なら覚めて欲しい。

「敬人…!!」

ななしは目からボロボロと涙を流している。

「…ほう、お楽しみのところ邪魔したな」

俺の口から出る言葉は自分自身も驚くほど静かで冷たく感じた。

「何をしているんだ?
英智に無理矢理押し倒されたのか?」

英智がそんなことをするはずないと知っている。
それに、ななしも了承するはずがないということも知っている。
だが、聞かずにはいられなかった。

「…違うの!」

「何が違うんだ?」

「………英智君にお願いしたのは私だよ」

「なっ…」

未だにななしから退かない英智を見るとにっこりと笑った。

「そうだよ、ななしちゃんからお願いしてきたんだ。
敬人には秘密にしたいらしくてね」

「…英智、貴様…」

思わず英智に手をあげそうになるのをグッと堪える。
すると、そんな俺をみた英智は愉しそうに声を上げて笑った。

「…ははは…!
…っふふ、ごめんね、ななしちゃん。
敬人がこれ以上勘違いして暴走しない内に、秘密バラしちゃってもいいかな?」

英智の一言が自分の頭の中で引っかかる。
…勘違い?

「あ、うー……うん…」

英智の言葉に困った表情を見せるななし。
やはり俺に隠し事があるのは間違いない。
そう思っていると、

「敬人は、僕とななしちゃんが『悪いこと』してたって思ってるみたいだからね」

と英智がななしに言った。

「…えっ?…敬人、どういうこと?」

驚いた表情でななしは俺に聞いてくる。

「…どういうこと?というのは、俺が聞きたいがな。
ななし、英智と何をしてたんだ?」

この際プロレスごっこでもいい、とにかく浮気ではないことを心の中で仏に祈った。

「いや、その…実は英智君に入れてもらってたんだよね…」

そっと、英智が掌を俺に見せる。
英智の掌には目薬がのっていた。

「うん、ななしちゃんが1人で目薬を入れられないらしいから僕が入れてあげてたんだよ。
しかも、そんなの恥ずかしいから敬人には言わないで、って言われて、
だから英智君にやって欲しいの、と可愛くお願いされちゃうんだから、
やってあげるのは当然だろう?」

ふふ、と笑う英智は明らかに俺が勘違いする分かってやっているのだろう。
しかも、絶対楽しんでいる。本当に度し難い。

「…はぁ…全く………誤解を生むような会話をするな…」

「…そもそもなんで敬人は怒ってたの?」

「ななし、貴様はちょっと黙っていろ」

そういうことに鈍いななしの純粋な質問が、
俺の不純な心に突き刺さる。

「ふふ、教えてあげようか?」

「英智、ななしに変なことを吹き込むな」

しかし、英智はななしの耳にコソコソと告げ口をすると

「じゃあ、僕はちょっと出てくるよ」

そう言って生徒会室を出ていった。
唖然とし、ななしを見ると真っ赤な顔をしつつ、手で口元をおさえていた。

「…敬人」

「なんだ…」

「…そういうことしたかったの?」

思いがけない質問にかけていた眼鏡がズレるほど驚いた。

「…いや、まあ…その…したくない…わけではない」

俺も男だ、やはり性欲がないわけでもない。
寧ろ、ない方が不健全な気がしないでもない。

「そっか!私も敬人にやって貰いたかったの!!」

「…っ!?」

女子なのにオープンにそんなことを言うな、と説教したいところだが、
反面、俺を求めてくれているということも嬉しくて仕方ない。

「じゃあ、さ」

すっ、と俺の両手を握り、

「これから、よろしくね?」

俺の片手に何かを握らせてななしは微笑んだ。
俺が手を広げると手には先程英智が持っていた目薬があった。



勘違いの2乗

(本当に度し難い…)


良くあるネタ、書いてみたかった。
コンタクト入れてて、
「痛い!!自分の中に別のものが入ると痛い!!
…は!これは小説ネタにかけそうじゃね?」
な思い付きで書きました。
でも、目薬。
蓮巳先輩が振り回されてるの超絶楽しい!!!!

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あからこ

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