私の王子様


「友也?着替えた?開けるよ?」

「ま、待ってくださ────」

シャーッとカーテンを開けるとそこには可愛らしいお姫様がいました。

「友也………」

「あ、あんまり見ないでくださいよ…」

ああ、私の彼氏はなんて可愛いんだろう。
そこら辺の女の子よりも可愛いんじゃないかと思うくらい可愛い。
本当に可愛い。

「ななしさん、なんか言ってくださいよ…
沈黙されるとそれはそれでなんか、怖いです」

不安そうな泣きそうな彼の表情は本当に愛らしい。

「うん、可愛いよ友也。
お姫様みたい」

私が本心を言うと友也は顔を真っ赤にさせる。

「も、もうっ…着替えます」

再びカーテンを閉め、友也は着替え始めたようだ。
凄く似合ってたのになあ。
ふと、彼の女装姿を見ると出会った頃を思い出した。
出会った日も彼は変態仮面こと日々樹渉に女装させられて泣いてたんだっけ?
うっかり友也を女の子だと思って慰めたり優しくしてたけど、着替えた後に男の子だったと知った時は本当にびっくりした。
そのうえ、男の子だと知ったあとに告白までされた時には本当に驚いた。
でも、告白してくれたときは女の子のような可愛さは薄れて、真剣な眼差しで容易く私の心を奪っていったんだっけ。

「──さん、ななしさん!」

「っえ!?な、なに…?」

着替え終わった友也が私の名前を数回呼んでいたらしい。

「はぁ……着替え終わりましたので、今日はもうレッスンもありませんし、どこかでかけましょう、って言ってたのななしさんじゃないですか」

「ごめんごめん。
なんか初めて出会った時のことを思い出してたら………」

そう言うと友也は両手で顔を隠す。女子か。

「最初からななしさんの前であんな格好してたなんて…本当に恥ずかしいです…ううっ
もう、あんな俺の格好なんて忘れてください…」

「えー…でも、可愛かったよ?
なんというか、本当にお姫様みたいで、
寧ろこれは私が王子様の方が似合うんじゃないかって思っ────」

私は思わず言葉に詰まった。
否、遮られた。
先程まで恥ずかしいだの、なんだの言っていた可愛らしい彼はおらず、
私の目の前にいるのは顔を赤らめつつも、真っ直ぐな眼で私を見つめる真白友也だ。
壁と彼の間に挟まれた私は所謂壁ドンという状態にあり、身動きが取れない。
もしかしたら、彼を突き飛ばせば身動きは可能かもしれないが、
友也の真っ直ぐな眼に吸い込まれるように私は彼の眼に釘付けなのだ。

「───っ、友也」

「ななしさん。俺だって、男ですよ」

そっと、私の唇に友也の唇が重なった。
唇を離して微笑む彼は紛うことなき男の子の表情だった。


私の王子様


そんな彼のお姫様になりたいと思った


まだ見ぬ灰かぶりイベをイメージしました。
考えてたオチとは違ったので困惑してる。
友也君ってこんなキャラだっけ?お?
とりあえず普段ワタワタしてる子が攻め気味な感じなのいいと思います。
これ甘かな?微甘かな?分かんないけどとりあえず甘にしておきます。

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あからこ

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