アルコールという名の惚れ薬


※年齢操作あり、同棲設定



「ただいまー」

玄関から恋人であるななしの声が聞こえた。
もう23時を越えている。

「こんなに遅くまで遊びに出るとは…
全く、度し難い」

「仕事で飲みにいってたんだから仕方ないでしょ。
それに前もって連絡したじゃないの…
はぁ、頭痛い」

仕事で行くというのは前々から聞いていたことだが、どうしても不安になってしまう。
集まるメンバーが全員が女性という訳ではないため、
他の男に口説かれたのではだとか、
飲まされ過ぎてはいないかだとか、
ついつい考え込んで勝手に心配してしまう。
それだけ俺はななしに惚れ込んでいるらしい。

「うう、頭痛い…頭痛薬ない…」

薬箱から頭痛薬を探すものの見つからないらしい。

「…大丈夫か?」

俺が声をかけると、ななしは頭痛に苛まれた頭をふるふると横に振ってダメかもしれない、と力なく笑った。

「ごめん…ちょっと飲み過ぎちゃったかも…
あ、酔ってはないよ…意識あるし」

「…酔ってない、は酔った人間のいう言葉だと思うがな」

何よりいつもみたいに、『ほっといてよ!』なんて返事が返ってこない時点でおかしいのは明らかだ。
そもそも顔も紅く染まり、なんというか色っぽい。

「ねえ、敬人…」

「なんだ?」

「…キス、して?」

……は?
俺の思考回路が一瞬止まる。
キスを強請られるなんて、いつ以来だろうか。
基本的には俺からするばかりで、ななしからして欲しい、なんて言われることは滅多にない。
酔うとこんなに甘えてくるのか。
戸惑いつつも、ななしの額に口付けると、違う、と少し眉を下げて言われる。

「こっち…がいい…」

ななしは自分の唇を人差し指で指差して示した。
そういう仕草までもが色っぽい。
ななしのお望み通り彼女の唇に自身の唇を重ね、もう一度額にキスを落とすと、
ななしは嬉しそうに笑う。

「敬人…ありがとう、大好き」

ああもう、本当に…

「可愛いやつだな…」

俺も好きだ、と耳元で囁けば酔って真っ赤になっていたななしの顔が尚更赤くなった。

「ところで、頭痛は大丈夫なのか?」

「敬人がキスしてくれたから治った」

何を馬鹿なことを、と思ったが
ヘラりと笑う彼女を見る限り本当なのだろう。

「あ、でも」

「ん?どうした?」

「…私…まだ、酔ってるから…最後まで介抱して欲しいな」

そう呟いた彼女に今度は俺が顔を赤くするしかなかった。
どこで、そんな殺し文句を覚えてきたんだ。
彼女をベッドに運び、何度も口付ける。

「敬人…酔ってる?」

「酔ってるのはななしだがな」

そう言いつつも正直俺も酔っているのだろう。
随分とななしを甘やかしてしまう。
だが、それはきっとアルコールなんかではなく、
ななしに酔ってるのではないだろうか。
そんな恥ずかしいことを本人の前で口には出来ないが、多分そういうことだと思う。


アルコールという名の惚れ薬

たまにはこういうのもいいのかもしれない


彼女の帰りはきちんと待つであろう優しい蓮巳さん。度し難い(褒め言葉)

以前、私が仕事で出張に行ったら毎日飲まされ、頭痛に苛まれました…。
飲み過ぎ注意ですな。

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あからこ

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