病名:恋


くしゅん!

昼休み、大きなくしゃみが教室に鳴り響く。

「あ、はは…すみません」

一斉にみんなに見られ恥ずかしい。
あー、まずい…これは風邪かも…
目も痒いし、涙まで出てきた…
朝から鼻水はノンストップだし。
今日の放課後すぐ病院に行こう。
そう思いつつ午後の授業を受けるものの、
全く内容が頭に入らなかった。
放課後になると私は即座に鞄の中に教科書類を入れる。

「あ?何急いでんだ?」

突然同じクラスの大神君が声をかけてくる。

「ちょっと風邪っぽいから病院行くの。
ってことで、お先!」

そう言って立ち去ろうとすると腕を掴まれる。

「えっ、ちょっと話聞いてた?
大神君まで風邪移るかもよ?」

「くしゃみは…出てたな。
涙は?目痒いか?鼻水は出るか?」

突然質問をぶつけられる。
え?大神君って医者かなんかだっけ?

「あ?全部当てはまるのか、聞いてんだよ。
どうなんだ?」

「へ?っ、あああ当てはまります」

診断なのか脅しなのか…
睨んでくる大神君にびびってしまう。
私が答えると大神君はポケットから何かの箱を出した。

「…薬?」

「ああ、俺様がいつも使ってる花粉症の薬だ。
ななしにやる。飲めよ」

「えっ」

「ああ?聞こえなかったか?」

「いや、待って…私って花粉症なの?」

風邪じゃなくて花粉症だったのか…。
じっと私を見続けてくる大神君。
あ、飲むって今すぐ飲む的な?
いつの間にか机に置かれたペットボトルに入った水を手に取る。

「あ、おい…ななし」

「ん?」

大神君が声を掛けられるときには、
もう薬を飲み終わっていた。

「え、大神君が私のために置いてたんじゃないの?」

「んなわけあるか!俺様の水だろうが!
ったく、ななしが飲んだあとの水なんか飲めっかよ」

「うわあ、酷い言われよう…でも、ありがとう!大神君!」

私が御礼を言い終わる前に大神君は教室を出ていった。
……顔や耳が赤くなるほど怒ってたのかな?
それとも、花粉症の症状?


病名:恋


(あの水…俺様が最初に飲んだだけだし、
そもそも勝手に飲んだななしが悪い…!
お、俺様は、悪くねえからな!
あー、関節キスくらいでモヤモヤする俺様ダッセェ)


関節キスでアワアワする大神さんとか可愛いと思って。
何だかんだ言ってななしちゃんが飲んだお水を飲んで再び関節キスとかしちゃってたらいいよね。ムッツリ大神さんとかいいね。
とにかく花粉症が辛い。

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あからこ

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