前言撤回


※『甘い警笛』の蓮巳視点
『甘い警笛』とほぼ内容は同じなので色っぽい表現あります。

最近同棲しているななしとの会話がめっきり減ってしまった。
同棲し始めた頃は、毎日互いに愛を囁いて、
口付けるだけで幸せだった。
しかし、今では互いに個人の趣味を優先するようになってきた。
別に寂しい訳ではない………こともない。
正直、同棲当初の頃に戻りたいと思うことが多々ある。
…まあ、本人に直接言えばいいのだが、
俺の言葉すら最近聞いてくれないことが多い。
ななしはスマホをよくいじっているため、
画面に集中している。
今日も俺が風呂から上がると、相変わらず画面に指を滑らせている。

「ななし、早く貴様も入れ」

髪から滴る水滴をタオルで拭いながらリビングに戻るとスマホをいじり続けるななしの姿があった。

「……うーん、もう少ししたら入る」

「………全く、度し難い」

俺は呆れつつ小言を言うものの全く聞く耳を持たない。

「おい、聞いているのか?スマホ、取り上げるぞ」

ななしの手からスマホを抜き取ると、

「あっ、ちょっと!今いいところなのに」

返して、と言うななしをあっさり俺は却下する。

「風呂に入ったら返してやる」

「…えー、だって入るのが面倒じゃないの」

駄目だ…この面倒くさがり屋を何とかしなければ。
何かいい案がないかと考え、ななしをじっくりと見つめると、少し襟元が乱れたカッターシャツに目がいく。
そこから白い喉が少し見え、湧いてはいけない感情…いや、欲が出てくる。
こんな手はあまり使いたくないが…と思いつつ、ソファーで寝転んだななしの上に跨る。

「ちょ、ちょっと敬人───」

「それなら、俺が無理矢理にでも入れてやろうか?」

こんなに焦ったななしの表情を見るのは新鮮だ。
この表情を見ているのは俺だけ、という特別感に満たされる。
ななしのカッターシャツの1番上のボタンに手をかける。
だが、目を瞑ったななしを見ると、
ハッとして我に返る。

───パチン

「っーーーー!?」

痛そうに唸るななし。
加減しようと思ったが、ななしにはこれくらいの灸を据えてやらねば。

「冗談だ、早く入れ」

「な、何…」

「もう一度言う、早く風呂入れ。
…俺は先に寝るぞ、おやすみ」

それだけ言って俺はリビングを出た。
あれ以上、手を出せば歯止めが効かなくなるのは、何となく分かった。
正直、俺はななしを大切にしたい。
だから、まだそういうことはしたくないし、
きちんとそういう環境が整ってからするべきだろう。

だがしかし、そんな考えはあっさり覆った。

「敬人、お風呂上がったよ」

風呂から上がってきたななしは、
露出度の高い服装だった。
……大切にしようと思ったが、
ななしのせいで台無しだ。

前言撤回

ずっと前から我慢してたが、もう無理だ

気付いた時にはななしを組み敷いていた


勝手に続編。
男の子が男の子したっていいじゃない。
そして、私は風呂に入れ。

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あからこ

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