甘い警笛


※年齢操作有り
また、裏には遠いですが、少しだけ色気あるところがあります。


敬人と同棲を始めて早三ヶ月。
緊張が解け、普段どのように過ごしてきたかが殆ど分かる頃だ。
少し前までは2人の時間を大切にしていたが、
最近では自分のしたいことを優先するようになってしまったため、以前に比べてお互い会話する機会が減ってしまった。
喋らないことはないけど、最近は敬人からの小言が主だろう。
そんなことを考えながらリビングのソファーで寝っ転がってスマホをいじっていると、お風呂からあがった敬人がタオルで髪の水滴を取りながらリビングに入ってくる。

「ななし、早く貴様も入れ」

「……うーん、もう少ししたら入る」

「………全く、度し難い」

ダラダラとスマホをいじっていると、呆れた声で話す敬人の小言が聞こえる。

「おい、聞いているのか?スマホ、取り上げるぞ」

スッ、と私の手から敬人はスマホを抜き取った。

「あっ、ちょっと!今いいところなのに」

返して、と言うもののツンとした彼はダメだ、とあっさり拒否してくる。

「風呂に入ったら返してやる」

「…えー、だって入るのが面倒じゃないの」

別にお風呂は嫌いじゃない、寧ろ好き。
ただ、入るまでが面倒くさいだけだ。
すると、敬人は何かを思い付いたような表情をしたかと思えば、
ソファーで寝転んだ私の上に跨る。

「ちょ、ちょっと敬人───」

「それなら、俺が無理矢理にでも入れてやろうか?」

今まで見たことないような妖艶な笑みを浮かべた敬人に思わず胸が高鳴る。
私のカッターシャツの1番上のボタンに手をかけられ、思わずぎゅっと目を瞑った。

───パチン

「っーーーー!?」

突然私の額に衝撃が走り、声にならない声が出た。

「冗談だ、早く入れ」

目を開けると、いつも通りの仏頂面の敬人が眉間にシワを寄せて私を見ている。
先ほどの衝撃の正体は、敬人からの愛のムチという名のデコピンだ。

「な、何…」

「もう一度言う、早く風呂入れ。
…俺は先に寝るぞ、おやすみ」

そう言うと私から退き、リビングを出ていった。
同棲して3ヶ月もなるのに夜の営みどころか、
キス以上はしていないため、敬人には性欲やらそういった知識やらがないのかとは思っていたけど、
さっきの敬人を思い出すと、以外と性欲もありそうだし、知識もありそうだったから少し安心した。
ただ、

「心臓が持たないわ…」

でも、きっと敬人もそれは同じだ。
リビングを出て行くときの敬人の耳は真っ赤だった。

「あれ…?
でも、敬人はお風呂入るように軽く脅しただけだよね…?」

私にそんな気を起こしたわけではない、ということに今更気付くと恥ずかしくなった。
とりあえず、お風呂入ろう。
明日どうせ休みだし、スマホいじるのは明日でいいや。

ただ、私がそれに気付いたのはお風呂からあがって敬人と同じ布団に入ってからだった。
あれは“脅し”ではなく、
敬人の我慢が解かれる、という警笛だったということに。

甘い警笛

俺が我慢してたことに気付かなかったのか?
その言葉を聞いた時には妖しく微笑む敬人の後ろに天井が見えた


20歳越えてるし別にちょっとエロっぽいの書いてもいいんじゃね?
なノリで書いてみました。
あと、私自身がお風呂入るのがいつも遅くて後悔するため、私の脳内で
「嬢ちゃん、俺が無理矢理風呂に入れてやろうか?」
と声がします。鬼龍先輩の声が。
それにしても、これは蓮巳さん視点も書いてみたいですね。
……読む方いるのでしょうか。

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あからこ

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