冷めない熱


ようやくデート当日。
メイクも服も気合を入れて敬人との待ち合わせ場所に行く。
…ただ、気合入れすぎて時間が早かったらしい。
まさか余裕を持って出たばっかりに1時間も前に到着するとは。
手鏡で髪が乱れてないかチェックしていると、

「おい」

と背後から声をかけられる。
手鏡越しに見ると、少し驚いた表情の敬人が映っていた。

「あ、おはよう。
……って早すぎじゃない?
まだ、1時間も前だよ?」

「それは俺の台詞だ」

敬人は少しため息をつきながらも、
頬が緩んでいる、なにやら嬉しそうだ。

「そんなに俺と出掛けるのが楽しみだったのか」

少しSっ気を含んだ笑みでニヤニヤとしながら聞いてくる敬人に対し

「勿論!だって敬人に会うの楽しみすぎて早く来ちゃったんだもん。
敬人は?」

通常なら私は恥ずかしがりながら言葉を濁し、
そのままじわじわと本音を言わせようと追い込んで来る敬人に渋々本音を吐き出す。
しかし、今日は敢えてフェイントをかけてみる。

「……まあ、そうだな」

「…敬人は楽しみじゃなかったの?」

私が少ししょぼんとした表情で尋ねると

「………楽しみにしてなければ、こんな早く来るはずがないだろ。
全く、ななしは………度し難い」

真っ赤な顔でお小言を言われる。
残念ながらいつものキリリとした雰囲気はなく寧ろ可愛い。
度し難い、と言う通常ならお叱りである言葉も
今じゃ照れ隠しの言葉に過ぎない。
スッと手を差し出す彼に私が戸惑うと
早く行くぞ、と敬人は私の手を取りゲームセンターへと歩き出した。

「………本当にここに入るのか」

ゲームセンターにつくなり、私はプリクラ機へと向かった。
やはりカップルの定番である。

「やっぱり形に残るものとか欲しいじゃない?
それにツーショット写真とか持ってないし、
なんというか……敬人と恋人、って証が欲しい…」

恥ずかしいことを言ってしまったと思いつつ、敬人を見ると、
呆れたようにため息をつかれた。

「今回だけだからな…」

中に入り設定を進めていく。

『2人の片手と片手でハートを作ってね!』

プリクラ機の音声からポーズを指示され、
嫌そうな顔をする敬人。
ちょっとショックなんだけど…

「……ポーズくらい自分で決めさせてくれないのか」

どうやらポーズを指定されたのが嫌らしい。

「え…まあ、自分で好きに決めてもいいけど…
じゃあ、ポーズどうするの…?」

機械は既に3、2…とカウントしている。
ポーズ決めなきゃ、と思う前に敬人は私の腰に手を回し、敬人に密着する。
カシャとシャッター音がなった時には、私は敬人の腕の中だった。

「敬人…大胆…」

真っ赤になった私を見て満足そうに笑う。

「まだ撮る枚数があるんだろう?」

こうして普段しないようなことをカメラの前でするものだから、
完成したプリクラの私の顔は色白なのに頬だけやたら赤い。
そのうえ焦った顔だったり唖然とした顔をしているものだから、なかなか滑稽だ。

「うー…私変な顔してる…」

敬人は出てきたプリクラを見て笑った。

「なかなか面白い表情だな」

「誰かさんのお陰でね……
そんなことより、抱き締めて来るとか、
いつもしないのに、なんで突然…」

恥ずかしそうに言えば、耳元でこっそり

「なんだ、毎日して欲しいのか?」

なんて聞いてくる敬人に、頷くことしか出来なかった。
なんだこれ、私たちただのバカップルじゃないか、
そう思うと全身が火照って仕方ない。

「ほ、ほら、次行くよ…」

今度は私から敬人手を取りゲームセンターを後にした。
次の行先は考えていないけど、
とりあえずこの火照りをどうにかしたくて、
ひたすら歩いていった。
繋いだ敬人の手も熱くて、なんだかお互い熱で溶けてしまいそうだった。


冷めない熱
きっと永遠に


なにこれ凄く甘ったるいですね。
蓮巳さんのツンとデレを上手く書きたいのに、
キャラがブレッブレでごめんなさい。
デレが多いどころかデレしかないぞこれは。

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あからこ

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