暴君との軟禁生活 | ナノ

ミステリアスなお方

中在家さんのデザートを食べた後、片付けは小平太がするそうで、

「ななしは長次と話でもしていてくれ!」

と言ってキッチンへ向かっていった。
とりあえず、私は長次さんとソファーに座って話をすることにした。

「あの、中在家さん。少々お聞きしてもよろしいですか?」

私がそう尋ねると中在家さんはコクリとうなずいた。

「さっきのデザートって何というお菓子なんですか?」

「……」

…すみません、全く何を言っているのかが分からないです。
声が小さすぎます。

「すみません、聞き取れなかったのでもう一度おっしゃっていただいてもよろしいですか?」

「クイーン・オブ・プディングです…」

聞き取れたのはいいものの、名前を聞いてもあまりピンとこない。
自分から聞いておいて反応に困るというのは、なんだか失礼だけど本当にどうしたらいいのか分からない。
すると、頭に?を浮かべているのが見えたのか、中在家さんは

「…あれは、イギリスのお菓子で……」

と説明をしてくださった。
なんだかギャップがすごい方なんだなあ。

「…ところで…私もひとつお伺いしてもよろしいでしょうか…?」

中在家さんが申し訳なさそうな表情でおっしゃった。
私が頷くと小声で

「あの…その服装は…小平太に無理やり着せられたのですか…?」

……!
そういや、結局立花君がくれた例の服で寝て、未だに着替えていなかった。

「い、いえ…なんというか、服がこれしかなくて…その…」

「…小平太は服を用意してくれないのですか……?」

「いえ、用意してくれた服がこれ…といいますか…」

「ふ、ふへへへへ…」

私が控えめな声で答えると中在家さんは突然笑い出した。
ただ、何故か怒っているような雰囲気を醸し出している。
…なにこの矛盾は。

「小平太…」

「お?長次、どうした?なんで怒っているんだ?」

「ななしさんに…なんという格好を…」

「すまんすまん、ななしが喜ぶと思って私が仙蔵に頼んだんだ!
そうだよな、ななし?」

小平太は必死に中在家さんを落ち着けようと私に話をふってきた。
確かに作ってくれたことは嬉しい。
…もう少しチョイスがまともであれば完璧だったけど。
とりあえず、否定するとまずいことになりそうなので、嬉しいと言うと

「…そうか、ならいい…」

と中在家さんは言ってまた無表情になった。
…あれ、もしかして私のこと心配してくれたのかな?
少なくとも中在家さんはいい人なんだなということが分かりました。



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