暴君との軟禁生活 | ナノ

トークは朝食の後で

結局、昨日立花君からもらった服の中で寝間着として使えそうな服を着て就寝した。
いい布を使っていて、肌触りがよく、ぐっすり眠れた気がする。
そのうえ、服のおかげかどうかは分からないけど、いつもより早く起きることが出来た。
大きく伸びをしつつリビングに近づくと、朝食の目玉焼きの匂いのほかに、なにやら甘い匂いがする。

「…おはよう、小平…っ」

今日は祝日で小平太が家にいることは知っている。
でも、

「…おはようございます…もそ…」

お客さんが来ていたなんて知らない。
しかもこんな朝早くから。

「えっと、おはようございます…」

小平太の隣でお菓子を作っているお兄さんに挨拶をした。
歳は分からないけど、私と同じくらいか年上だろう。
…きっと、小平太の先輩だと思う。
というか、甘い匂いはお兄さんが作っているお菓子からだったんだ。

「おはよう、ななし!飯ができたからテーブルに運んでくれ!」

小平太に言われ分かった、と返事しテーブルに料理を運んだ。



* * * * *



朝食を食べ終えると、お兄さんはキッチンに向かっていった。

「ねえ、小平太。あのお兄さん誰?」

「ああ、長次のことか?名前は中在家長次な。
長次は私の親友で料理を学ぶ学校に行っているんだ。
元々長次は料理がうまいからな!
さっき作ってたデザートも美味そうだったぞ!」

そういや、昨日小平太の口から『長次』という人名が出た気がする。
きっと中在家さんのことだったんだ。
とりあえず、小平太の言い方からすると中在家さんという方はどうやら私より年下らしい。
うーん、正直そうは見えないんだけど。
すると、中在家さんがテーブルにデザートを運んできた。

「うわあ…美味しそう!」

「さすがだな、長次!」

どうやらケーキのようなもので、中在家さんが三等分にしてそれぞれのお皿に一切れずつ置いていく。
いただきます、と三人で声を合わせてケーキを口に運ぶと、口の中に甘酸っぱい味と香りが広がる。

「ん…!美味しい!すごく美味しいです!中在家さん!」

そう言うと中在家さんはもの凄く不機嫌そうな表情になった。
えっ、えっ…?
困惑する私とは反対に小平太は

「長次、嬉しそうだな!」

なんて言ってるけど…どこがなの?!
混乱するもののまた後で中在家さんからお話を伺えばいいかと思い、
とりあえず考えることはやめて、目の前にあるケーキを頬張った。



トークは朝食の後で


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