暴君との軟禁生活 | ナノ

事の発端はお前か

「ごめんね…小平太」

落ち着いた頃にもう一度謝ると、大きな手で私の頭をなでてくれた。
まだ小平太に抱きしめられた状態で、なぜかとても幸せな気持ちになる。

「おい、小平太…って…は!?」

なぜか突然家に上がってきた立花君が驚いている。
なぜ勝手に上がっているのか、こっちが驚きですよ。

「なんだお前たち、付き合うことになったのか?」

「いや、立花君。今慰めてもらってるところだよ。
だからそういう関係じゃなくて…」

私がそう言うと「そうですか」と言ってなにやら自分で持ってきたかばんを漁り、
何かを取り出した。

「なにそれ?」

「ん?これはななしさん用の服ですよ」

「え?もうできたの?!」

そう言って驚けば、立花君に当然です、という顔をされてしまった。

「早速ですが、着てみていただけませんか?」

立花君に服が入った紙袋を手渡され隣の部屋で着替えることにした。
立花君が作ってくれたものだもの、きっと素敵な服なんだろうなあ、と期待が膨らむ。
紙袋を開けて服を取り出すと、何枚か服が出てきた。
しかし、確かに素敵な服ではあるものの見覚えがある服で、この服を着ることを躊躇してしまう。

「ななしさん、着られました?」

「…いや、あの、立花君…これを着ろと?」

「…?お気に召しませんでしたか?」

私の手元にある服はどれも船が擬人化したゲームでみたような服だった。
なんでこれをチョイスしたの。

「でも、私はななしに似合うと思うぞ!」

「私も小平太に同感です」

確かにジャージや小平太の服を着て生活するよりはマシ…なわけじゃないけど、
せっかく立花君が作ってくれたんだし、着ないというのも申し訳ない。
い、今だけ…今だけなら…
暗示をかけて服を着てドア越しに着たことを言うと勢いよくドアを開かれてしまった。
すると、小平太と立花君は黙ってしまった。
…え、そんなに似合ってないの?
鏡がこの部屋には無いため、まだ自分の目では見ていない。

「き、着替えてき「…か、可愛い!ななし、可愛いぞ!」…え?」

顔を赤らめた小平太が可愛いを連呼する。
目はきらきらとしており、お世辞ではなく心の底から思ってくれているんだ、と嬉しくなった。

「ななしさん、とてもお似合いです。
あと、全身が見れるように鏡も持ってきましたので、どうぞななしさん自身もご覧ください」

そう言って立花君は大きな鏡を私の前に持ってきて「どうです?」と私の感想を尋ねてくる。

「立花君…あの、素敵な服だけど恥ずかしいね…。
それにこれじゃあ外には出られないよ」

「それなら、家にいるときだけ着ていればいいんじゃないか?
私は問題ないぞ!
それに、お気に入りのキャラと同じ服装でよかったではないか!」

ああ、なるほど。


事の発端はお前か

でも、そういうことじゃない。


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