暴君との軟禁生活 | ナノ

喧嘩と仲直り

食事が終わって食器を小平太のいるキッチンに持って行く。

「小平太、ご馳走様!今日も美味しかったよ」

そういうと小平太は照れくさそうに笑った。

「じゃあ、そこに置いておいてくれ。
私が洗っておくから」

いつも通り指定された場所に置く……つもりだった。
でも、いつもやってばかりじゃ申し訳ない。
こんなに贅沢に住ませてもらってるのに。
今更ながら申し訳なさというか罪悪感というか…

「あ、小平太。今日は私が洗うよ」

私がそう言うと小平太はあからさまに嫌そうな顔をした。
食器洗いが出来ないように見えるの?なにこれ、なめられてるの?
そう思うと少しイラッとしてしまった。

「私が食器洗いを出来ないとでも?」

「いや、そうじゃなくて皿が割れたときに怪我させたくないから…」

「なんでお皿割ること前提なの?!
どうせ私がなにも出来ない女子力の低い女だと思っているんでしょ?」

「ああ…もう!違う!
じゃあ、100%食器を割らないと言い切れるのか!?
もし万が一、食器が割れてななしが怪我したら私が困るんだ!」

怒った小平太は初めて見た。
怒鳴られて冷静になった私はさっき自分の言った言葉を思い出した。

「…ごめんなさい、私…小平太に酷いこと…」

思わず涙がぽろぽろと溢れてくる。
大人げないと自分でも思った。
小平太の家で暮らす前の一人暮らしでなにかが溜まっていたのかもしれない。
八つ当たりなんて情けない。
心の中でも反省をしていると、小平太が優しく抱きしめてくれた。

「…私も悪かった。私が変に誤解させるような言い方したからななしは怒ったんだな。
…ななしは私に気遣ってくれたのだろ?
気なんて遣わなくて構わん。
私がななしに一緒に住んで欲しいと頼んだ、だから気を遣わねばならんのは私の方だ。
それに、ななしが怪我をして痛がっている顔を見るよりも、
楽しいことをして笑っているななしを見る方がいい」

そのまま私は気の済むまで泣いて、落ち着いた頃には夕方が来ていた。



喧嘩と仲直り


- 9 -
[前] | [次]
back
あからこ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -