仕立てましょう
翌日、目が覚めたのはお昼だった。
夜中までゲームをしてしまったため、寝るのが遅くなってしまった。
リビングに行くと小平太は学校に出かけたようだ。
ところで…
「服どうしよう…」
さすがに、小平太の服を借りるのはあれだし、買いに行った方がいいのかな?
でも、財布なんて持ってきてないし…
小平太に相談するしかないか。
そう思いながらまた今日もパソコンの電源を入れた。
* * * * *
「ただいまー!」
「おかえり、小平太。
あ、そうだ。私の服のことで……」
画面から目を離し、小平太のほうを見ると、小平太の後ろにもうひとり誰かいた。
「えっと…」
「初めまして、私立花仙蔵と申します。
ななしさんのことは小平太からお話を伺っております」
「仙蔵はデザイン関係の学校に通っているんだ。
だから、今日はそのために仙蔵を呼んだんだ。
仙蔵にななしの服を作ってもらおうと思ってな!」
確かに彼はセンスがありそうだわ。
でも、
「服なら家に一旦取りに帰ってもいいし、それに買いに行けばいいんじゃ…」
「い…いや、でも私の家からななしの家は遠いからな…!
そ、それに…」
なぜか私の言葉にあたふたし始める小平太。
そんな小平太に呆れたかのように立花君は口を開いた。
「そういうわけで、小平太はななしさんに手間をかけさせたくないと
小平太なりに気遣っているんです。
服についてはななしさんのお好みのデザインをお聞きしてななしさんのサイズに合わせた服を作る予定です。
…なにかご不満はございますでしょうか?」
丁寧な口ぶりだが、いいえと言わせないような挑発的な視線を送ってくる。
「うーん、私は嬉しいんだけど…、立花君に申し訳ないよ」
「大丈夫です、というより寧ろ授業の復習をするようなものですので、作らせていただけるとありがたいです。
ぜひ、私の勉学の向上にご協力していただけないでしょうか?」
立花君はそういってにっこりと笑った。
ここで断ることに罪悪感を感じ、立花君のお言葉に甘えることにした。
仕立てましょう
- 6 - [前] | [次]
backあからこ