暴君との軟禁生活 | ナノ

楽園はここにあり

小平太は伊作の友達で、小さい頃伊作の家で私たちは出会った。
当時のことはあまり覚えていないけど、面白くて明るい子という印象だった。
今でもその印象は変わらないけど、成長するにつれて優しくて男らしい子という印象になってきた。
体を動かすのが好きみたいで、部屋にあるバレーボールもダンベルも使い込んだような跡がある。
実は小平太の部屋に来たのは今日…というか夜が明けたから、昨日が初めて。
小平太がどこで誰と住んでいるのかも知らない。

「小平太って誰かと一緒に住んでいるの?」

私が問えば小平太は首を横に振った。

「いや、一人暮らしだ」

「そっか、じゃあ私と一緒だね」

そういうと小平太は一瞬驚いた表情をしたかと思えばふわりと笑った。
いつもは豪快に笑う小平太が柔らかく笑うのはどこか新鮮でなんだか心がそわそわする。

「なあ、ななし。
私一人暮らしを始めたのはいいのだが、寂しくて夜も眠れん。
だから、少しの間だけで良い。私の家に泊まってくれないか?」

「へ?」

男の子の家なんて、伊作の家にしか泊まったことが無い。
でも、伊作は従姉弟だし…、小平太は友達。
身内以外の部屋に泊まるのは…

「大丈夫だ、家事は私がやるし部屋は好きにつかってくれて構わない。
私の部屋にあるノートパソコンも使ってくれて構わない。
寝るときは部屋だって分ける。
…やっぱり、駄目か?」

え、なにそれ楽園じゃないですか。

「うん、いいよ」

そう答えるしかなかった。



楽園はここにあり


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あからこ

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