プロローグ
ある日の夜のこと、私は眠れなかった。
親の元を離れて一人暮らしを始めたのはいいんだけど、
何故か寂しい。
実家に帰るというのはさすがに嫌だし、伊作のもとを尋ねるのもなんだかなあ。
「…そうだ、走ったら疲れて眠れるかな?」
私は動きやすい格好に着替えて家の鍵を閉めて外へ出た。
* * * * *
あれから無我夢中で走り続けた。
しかし、このあたりは暗くて場所が把握できない。
「あれ…ここどこだっけ…?」
走ったのはいいものの、ここがどこだか分からないため、
帰り道すらわからない。
迷子になってしまった。
人気も無く、明かりもない場所。
すると
カサカサ
と音がした。誰かの足音だろうか。
恐怖でいっぱいになり、足が動かない。
「…っ」
足音は自分が思っている以上に早く近づいてきた。
もうそこまで来てる…!
そう思ったときには、私は地面から足が離れていた。
プロローグ
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