相田以外のKP情報


・五月雨千歳
 同級生の中でも美人であった彼女は、別れて数年が経っていようとも、その珍しい苗字とともに探索者の印象に残っていた。彼女の母親も美人であるが父親は平凡な容姿のため、美形の皮を欲しがる己巳村では食事として利用されたので、死んだことになっている。
 彼女の皮をかぶったグールは感受性が高かったのか、彼女の生前の記憶を知り羨み、自らが五月雨千歳としてふるまうようになる。だから、グールは何年経とうが成長しない自分の姿と辻褄を合わせるために、一年が終われば記憶がリセットされ同じ一年を過ごすという繰り返しをしている。
 グールが探索者たちを村に呼んだのは好意であり、千歳としてふるまった純粋な行動である。

・オーナー
 相田の皮をもらう予定の村人。
 相田グールエンドでは、彼の皮を欲しがった他のグールにとられてしまう上に、千歳に殺される。非常にかわいそう。

・グール化した相田の中のグール
 村人たちの中でもINTが高く、相田として振舞うことで人間生活を営み、己の歪んだ欲を満たそうとする。その内容は美形の者の皮を残し中身だけを新鮮なまま食らいたいという、腐った死肉を主な食事とする普通のグールとはかなり違う。

・村人たち
 彼らは美形の皮をかぶりより人間として良い生活を営もうとするグールである。グールの潜むこの国の中では穏健派で、定期的に生贄を渡せば里に下りたり人を襲ったりしないことを約束している。
 今回の生贄は言わずもがな相田真守で、探索者たちは迷い込んでしまったあわれな犠牲者となる。前回の生贄は看板娘の皮の持ち主、日記を書いた記者である。この時帰りのバスが来なかったのは、乗る人がいないとわかっているバスを走らせる理由はないからである。

・己巳村
 同じ読みで漢字を変えると生贄。つまりは生贄の村とその名前からもわかる。
 村人が皮として使う条件は、APP13以上の人間である。初めて出会う村人が探索者たちを観察している理由は、APPを量っているためである。千歳以外の住人と二度目出会ったときに心理学を振ると、成功でAPPが低い者を一切見ていないことがわかる。
電気の節約のために決まった時間に完全消灯するので、村全体で就寝時間が決まっている。


・国が反抗しない理由
 平和主義を掲げたこの国で、人間を食べるという化け物がいたら混乱が生じると危惧した政府が、平和的な交渉をしたからである。

・タイトルの伏線
 五月雨千歳の忘れたものと考えるとわかりやすい。
 五月雨千歳は死んでいることや、現在己巳村に存在する五月雨千歳は、五月雨千歳の皮をかぶったグールであると思い出すことがこの物語のラストである。
 だから忘れ〃物〃でなく忘れ〃もの〃なのである。
 五月雨千歳として生きたかったグールが忘れたものは、物理的な物でない。そういう意味を込めている。



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