※イラストは公式イラストレーターの來住さんによるものと、読者の方に頂いたものと依頼した絵があるので著作権諸々の理由で現時点での使用は禁止でお願いします。

がっつり長文れす!自分きっしょ(笑)

お友達口調だと不真面目に捉えられないか不安だったので、親しく愛称で呼び合う間柄の方も文面では「〜様」とか「〜氏」で統一しています。テンションは高いけど。キャラの中で一番〜は小ネタだと思って下さい、たまに暗い背景が語られるので癒し要素で。




クラウン as ムラカミハジメ(続投)

illustration by 來住




キャラの中で一番、朝の機嫌が悪い。

世紀と時間軸を跨ぎ、アーノルドとの戦いを続ける魔術師クラウン。彼もまあ、可哀そうな背景を背負っているのですが(後述)、うん、それで無関係の人を巻き込んじゃ良くないよねーっていう話なんですけどね。簡単に言えば「義理の娘をドキュン達に暴行リンチの末レイピされて殺害された、しかも死体処理のために犬に食わせた」という絶句するような過去があって、全世界を巻き込んでまで娘を取り戻そうとするんです。頭の中には復讐と娘しかない。もしかすると人によってはアホか! 一人の犠牲の為に多くの人を巻き込むな! と怒っちゃうのかもしれないけど、彼にとっては全てだったのだから救いがたい話である。死んだ者にはもう逢えないんだよ、という、当たり前の事実に抗おうとしてしまう狂気、切なさと悲しさと恐ろしさが同居している。例えどんな報いが待っていようとも、ひょっとしたら自分もたったひと目でいいから動いているその人達に会うためだけに、クラウンと同じ愚を犯すに違うのかもしれないなぁ。誕生と死は1度きりです。2度は許されない。神の領域を侵して冒涜するようなもんでっせ。だから彼はどんな形であっても、神と同化した。それがいい神様じゃなくても。けれども許されなくてもコーディーの再生を望んだクラウンが、ひょっとしたらどこまでも、一番人間的なのかもしれないよね。色々あると思うけど、1番重要なのは自分の命より大事な愛している存在が理不尽に、それもあまりに酷い殺され方をしてしまったって事。どっかしらは、歪んでしまう。歪むという使い方が正しいのかは分からんが、けど現実に生きてる人間苦しめちゃぁ不味いですよね。決していい方向に向かわない。コーディーに合う以前の彼も結局同じように麻薬を売買したりあれこれやってたわけなんだけど、娘を奪われた事でそれしか頭にないので踏みつけきた人間の痛みを、気に留めていない。その姿勢には眉をひそめます。でも娘を殺されるのはそれに見合った罰ではない。彼が復讐に走るのは理解できる。娘の命を奪った奴らは、全員苦しんで死ねばいい。そう思うのは当然だし、でも普通の人ならより深い傷を心に負う。だから復讐は悲しい。

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黒井ワールドでは多分一番可愛そうな悪役ではないのかと言われるクラウン。過去が明かされるまでは「こいつ酷い奴だなおい!」と読者に思わせておいて徐々に明かされる衝撃的な過去。しかも生き返った娘は心を持たない化け物。更に自分も人間捨てちゃう、文字通りに。最後の最後、アーノルドに倒された(というよりは魂が浄化されたというか……)コーディーの亡骸の手を握るシーンは同時期に連載されていたナイトメアesの馬鹿なノリと正反対すぎて「あれ、これは黒井ワールドでしたっけ?」とちょっとセンチメンタルになってしまうであろう。悲哀と憎悪の入り混じったロリコンでショタコンなクラウン団長演ずるムラカミハジメ様の低音は絵と本文との違和感ゼロですよね。じじぃの時の声も凄まじい。自分は何て事してしまったんだ、っていうここで初めて自分のやった事に愕然としてる。飽くまで選考台詞だけでここまで切なくなるとは。心が悲鳴を上げっぱなしである。この声でラストの……は、心に致命傷を負いまくっている者達の精神を叩きのめすに違いない。ちょっと作れる時間は当面ないけど、もしシャンテクレールが声ついたら悲しすぎて聞いていられないよあたしゃ。コーデリア役のちるひ様の穢れのない声との対比がまたイイんですよね。二人が幸せになれる日が来て欲しいと祈らずにはいられない。つらいつらい。はいそこの画面の前の人、もし自分が同じ立場ならどうする? って突きつけられてるようなもんですよ。まるで。けど物語の着地点はそうもいかない。この親子演ずる二人の声あってこそですよね。美しく終われるわけなどがない切なさ全開。もう駄目。団長に一言申したくなります、復讐は復讐しか生まないお! 無意味なんだお! 自分も殺される覚悟が無きゃしちゃだめだお! って。……ま、会えないけどな!


illustration by たかなし


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ビヤーキー as 綾瀬桂吾(続投)





キャラの中で一番、隠れ巨乳。


初めて姿を見せた「クライシス」の時とはかんなり印象の変わったキャラですね。当初は黒髪ロングのストレートで無口なアタッカーで、その形式はララに受け継がれる事になりました。謎多き男女の双子という点は同じで、当初はインテグラルはこの南雲双子が主人公の候補でしたがそうじゃなくてよかったです。結果、敵役に回る事になりはしたものの正解かなあ、と。容姿も先述したように大きく異なって、ピンク髪の脇巫女になりました。暁君大好きな性格はあまり変わってないようですが、クライシスでは「〜ですわ」口調で高飛車なイメージだったのに対して、寡黙だけど中身は病んでて感情の起伏が激しい。つーかメンヘラワールドの住人ですよ。ツイッターとかで謎のポエム垂れ流してそうです。手首の傷観察部隊、チェックお願いします!!

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彼女と暁はその名が指すとおりにクトゥルフ神話で言う、ハスターの眷属・ビヤーキー(バイアクヘーとも発音するそうですが語呂が悪いんでビヤーキーにしました)。
人間の姿に擬態しているが、本当の姿は人間ではなく腐乱死体のような醜い怪物の為にそれを酷く嫌悪するあまり情緒が乱れる事もしばしば。SNSで遭遇したら思わずブロックしたくなるようなタイプである。飽くまでも黒井ワールドの設定によれば、ビヤーキーが初めて出現した時間軸は更に遡った『シャンテクレールの葬送歌』(改装版)にて、クラウンの雇った妖術師で今の巫女さん姿で登場し単体でした。が、終盤、ルルイエ異本とアーノルドの力には勝てず消滅してしまう。以降、器を持たない精神体のまま転生し「南雲梓」へと生まれ変わり、その時に一つの個であった精神は分離し、双子である暁が誕生しクライシスへ移る。エクサでは双子の幼少期についても書かれていますが、この時のビヤーキーは昔の記憶を持っていないので何も知らない子供のままでした。これまたネクロノミコンの仕業で現世に転生したクラウンが二人を迎えに来て……ってな感じです。その先でもまあ、色々あって、梓はクラウンと暁どちらにも愛憎じみた感情を持つようになってしまうんですね。クラウンには父性を求めて、兄には兄弟としての絆を求める。矢印がうまくいかない。皆がうまくいけばいいのに、彼女は結果としてクラウンも暁も裏切る事になってしまった。周りは少しずつ彼女から何かを奪っていき、梓は心の底では普通の少女のように生きたいと願い、しかし、そうすれば自分は「必要にされないもの」になってしまう。だって自分の代わりには暁がいるのだから……、彼女は化け物にしながら「人の心」を持ってしまった。何かを壊すのに武器や魔力など必要はない。心さえ持っていれば、そしてその心を蹴飛ばせば、容易く人は壊れてしまうものだと彼女は知る。だからこそ、愛情や倫理を排除して無感情に徹し、クラウン達の一向に加わった。この辺りは語られていないが、暁はクラウンの元から彼女を取り戻したい、と言っているので互いの気持ちに相違はあったんでしょう。「他人から必要とされなくては自分に価値がない」という強迫観念に囚われ、クラウンへの承認欲求と拒絶の入り混じった心の闇と脆さが紙一重な性格が形成されることになったのでは、と推測される。

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LSDでは卑猥な言葉を次々と口走るイマジナリーフレンドのテディベア、シーザーを熱演していた綾瀬様ですが打って変わりヤンデレ美少女・ビヤーキーとこれまた正反対のキャラになりました。コンプレックスからか自分を罵った相手に向かって「死ねよ、ブス」等と冷淡に言い放ち、時には精神をかき乱され、「巫女とかどうだっていいんだよクソが!!」と上品な容姿にそぐわず叫び散らしながらも救いを求める様子はトラウマにもがき苦しんでいるのが良く分かりますね。この「クソが!!」の直後、「助けて下さい……」と続くのですが綾瀬様のビヤーキーはこの辺りの間の取り方と息継ぎの仕方が非常に巧みでした。決してこの娘は二重人格ではないんで、同じ人物ではあるけど、きちんと感情のブレを使い分けていてくれるの。うんうん。平坦だけど、平坦じゃないの。どちらかと言えば暁君の方がボンヤリしていてマイペースで、世渡り上手な気がする。それで彼女の事も受け入れたいんだけど、私はかなりひねくれた人間なので思うのだがコレって純愛……なのかなあ。近親相姦とかそういう意味じゃなく。単純に歪んでる気が? 純愛の定義は人それぞれで、私にもなんだかよくわからんけど歪んだ純愛ってのもあるのなら、二人にはしっくりと来ると思うんです。暁君のちょっとぽそぽそした喋り口調も、ビヤーキーの陰りを沈めたような声も、とてもバランスがいいと思います。同じ日に生まれ同じ日に死ぬ。これは二人を繋ぐ重要な設定なのだけど。二人の声に大きく差が出ちゃダメなんだよな。結果、綾瀬様の声を基準にして紫苑様が配役されたわけだけどぴったんこカンカンだと思います。双子ぉ……。でも、そんな彼女だけど、大きな転機が本作では訪れる。それが↓のオラついたあんちゃん、ドルバッキーだ。これまでこういう人種と関わった事もない彼女からすれば、嫌悪感の対象だったんでしょう。出会いがしらやらせろみたいな事言うし。でもありますよね? 少女漫画的なあいつなんて馬鹿だしスケベだし最低! でも気になる……みたいな(あるか?)。そんなマーマレードボーイな世界がこの血生臭い世界の中で待ち構えているわけなのだが、果たして二人の恋模様はどうなるのか……中島らもも「青春はキレイではない」と言っていたが、彼女達ともう一度青春をやり直して貰いたい。自分でもちょっと何言ってるかよく分かんなくなってきた(今、朝の四時)。




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アイドルじゃないけと「普通の女の子」になりたい願望のある彼女に手を差し伸べる存在が現れるのだけど……





コーデリア as ちるひ(続投)


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キャラの中で一番、笑いのツボが謎。

『シャンテクレールの葬送歌』にてあまりにも凄惨な末路を辿ったが故に、結果として大きな悲劇に結び付ける事となった少女。あんまりにもコーデリアが無垢に描かれている分、その犯行の惨さったらたまったもんじゃない。強姦シーンは1ページにも及ばない容量でおまけに行為そのものの内容は書かれていないのですが、ここまで際立たるのであろう要因は、コーディーの美しさ・優しさなんでしょうか。心乱されるほどの無垢さがあったからこそ、後の強姦シーンの痛ましさが不快でしょうがないんですよね。それから、クラウンが訴える「神よ、あなたは見ていたはずだ」という言葉。彼はこの時自らの信仰を捨て、邪神に縋る事に決めた。神にいくら祈っても何もしちゃくれねーよな、所詮、そういうもんだわな。で、そんな神を心の支えにして生きる事が人間の強みだけど、並行して弱みでもあるのでしょうね。『シャンテクレールの葬送歌』があまり人気がなかったのは、歴史ものって人を選ぶので(それも洋物)そこが黒井読者のマーケティングに外れたんだろうなってのと、このように悲痛すぎる展開と暗すぎたのが原因だと受け止めているのですが、確かにわざわざ読み物で暗部なんかねぇ、覗き込みに行きたくないっすわな。読みたくなくて当然だわ。現実だけでいいよ。人のどろどろを見るのは。そんで私は、フィクションでも人の死やレイピが当たり前のように描かれてる事自体がおかしいんじゃ、と逆説的に考えた。レイープを含めて暴力はこんなにも不快で恐ろしいものなのかと、当たり前のことに気付かされるわけです。そうすると日常で軽々しく使う『やりてー』とか『殺すぞ』なんて言葉は、当然、単なる冗談、軽口、なんだけど口にしたり書くのも躊躇ってしまう。

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ネタバレ注意

大きくネタバレしちゃうけど、今回はコーデリアの中に入っていた魂が実は本人のものではなかったと判明する。コーデリアのふりをしたオリヴィアなのだ。でも彼女はクラウンに取り入らなくちゃいけないから、飽くまでもコーデリアに徹する。これ、ものすごく難しい役柄じゃあないっすか。一つの身体に二つの魂があるんだからね。
一部目でコーデリア(=オリヴィア)は窓の上に座り込んで、クラウンに背を向けながら復讐を誓うけれど、もうこの辺りで彼女の中では変わりつつあったんじゃないですかね。クラウンが情状酌量の余地のない悪魔だけども、母性と言うか、情が移っちゃってる事。背を向けるって気を許した相手にしかしないからね。ちょっと母性というものを神々しく捉えすぎているかもしれないけど、母親って凄く強いと思うよ。ちるひ様が抜擢されたのはまずコーデリアという見た目もゴスロリで中身もあどけない無垢な人形少女ぶりがありのまま表現されていたからなのだけど、今回はまさかの展開に戸惑いもあると思います。でも、ちるひ様の可愛らしい声だからこそゾッとするんじゃないのかなあ。これから待ち受ける展開に。毒々しさから一転したとても愛くるしい声で、「もうすぐあいつの魂は死ぬよ」って。こわいこわい。打ちのめされそうだ。女と言うか母って強いと同時に怖さが並行する。ケイちゃんとアルに自分の復讐を手伝うようにお願いするんだけど、心の底では苦しんでもがいている。コーデリア自身の魂はどこにいったんでしょうね、今回は二つの側面を演じてもらうので(まさかの劇中劇? というのか??)ちるひ様も悩むんではないかなぁーと思いますが。暴力の間に儚い美しさが挟まれる事で、より凄惨さが増しちゃう。残酷な運命を切り開こうとする親子に、幸があらんことを。


「……もう。帰ろう、お父様。私達、明日には――いけないの」。ほんの一瞬だけ、人間の姿に戻る彼女が切ないですね。この振り向く瞬間のシーンは凄い人気あります。



……今ならこれくらい楽勝そうだけどな……




ドルバッキー as 鶴見鉄塔(希望外)






キャラの中で一番、ぼったくりバーの用心棒のバイトをして客を命乞いさせた過去がある。


別名ハイローコンビそのその2。比較的まともだよね、と思うじゃん?……化け物揃いのキャラの中で(エクサは特にメンバーがチート揃い)貴重な人間枠だけど、ナコト写本にも互角に渡り合ったりその腕は本物なんでしょう。まともそうだけど、彼もまた本作の普遍的テーマでもある「復讐」に心を支配されている。妹のニナが父に強姦されたのを目撃した彼は、生まれて初めて手に入れた拳銃で外しようもない距離から実の父を撃つ。まだ十四、五そこいらの時で、それが原因で少年院に入っちゃうんだけど、出所してから彼はチンピラの情婦になったニナと再会する。それまで兄に依存していたニナだったけど、あの日から全ては狂った。ニナは兄を拒絶するのだった、「私はお兄ちゃんのせいで人殺しの妹として生きる事になった。だからこうなったの」だから。ニナはその後、あらゆる罪悪感から自殺してしまう。ドルバッキーは彼女に会わなければ良かったと自分を責め、そこからの彼は堕落するようにニナを売春婦として扱っていたヤクザ共を片っ端からブチ殺し、犯罪を重ねていくのであった。でもね、彼にはそれしかなかったの! それが自分の中の正義だったの! 微笑みデブに狙撃しかなかったみたいに!! そんな中でビヤーキーに出会ったわけだけど、妹に似ていた、という理由から恋に発展していくのはちょっと異常っちゃあ異常だし、同時に彼もまた妹に依存してたんだろうな。そして今度こそは妹を助けたいみたいな気持ちでいるんでしょう。果してそれが上手くいくかどうかは別として。

そんなわけで「恐らく泥臭いくらいがちょうどいい」と思っていた彼ですが、経歴は全部謎でひっくるめられていて応募する人もそのまま受け取った人が多くなっちゃうんではないかなと思ったんですけど。見た目軽そうなあんちゃんなのに抱えているものはやっぱりヘビーなのであった。まあ、そうじゃなきゃこんな業の深そうな連中に引っ張って来られるわけがないっしょ。目ざとそうなクラウンが目にとめるわけもない、そんな普通な人……という事で腹の底が読めねぇなあっていう分かりにくそ〜うな、普通は感情移入させなきゃダメなんだけど、下手に感情移入できなさそうな声質がいいよねって。徐々に明るみになっていく辺りで「あー……(お察し)」ってなる方がいいじゃんかーって飴山さんとも話してて。明らかに人生に影落としてそうな感じのな。希望外からではあったんですが鶴見様の声質、いいじゃん何これいいじゃん! って頼んでみたのですが、渋くてカッチョイイなーぁ。明が合ってこそ暗が映える。その逆も然り。本当に経歴謎の、お前の感情どこだよって不思議になるようなミステリアスさ。ビヤーキーちゃんに対してはちょっと興味深そうにしてるけどそれも本音か分からない所が良いんですな。独特の哀愁がもう見事です。この哀愁はずっと心に残ります。この哀愁とまた遭遇したくなります。希望外からだったけど、頼んでみて良かった。本当に感謝しかありません。女子には胸キュンもののロマンスシーンもあるからな。よし! 俺もヒョウ柄着よう!! ていうかこの人、唯一普通の人間キャラなのに働かされまくってて可哀そうだからそろそろ有給休暇取らせてあげて!!!!
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