・出雲誕
「お誕生日おめでとう!神木さん」
「…はあ?」
彼女はアタシに花を差し出した。見たこともない花々にアタシは目を丸くする。
そもそもアタシがいつあんたに誕生日を教えたのだろう?と考えていると彼女は、おずおずと朴さんに聞いたの、と申し出た。
朴は何でも話してしまうのがたまに疵だ。
「別にプレゼントなんて、いらないわよ」
アタシは今朝、朴から貰った誕生日プレゼントを鞄にしまいながら帰りの支度をする。
「でも…友達にプレゼントってあげるもの…って聞いたし」
「……」
アタシは彼女の腕に抱えられた沢山の花に興味があった。
見たこともない色や形に、好奇心を抑えきれずに彼女に近付き花の匂いを嗅いだ。
――甘い。
(あんたみたいね、)
小さな可愛らしい花々が彼女の腕の中で咲き誇っているように見えた。
彼女には花がよく似合う。
淡くて、どこか儚い様が。
とても少女らしくてアタシとは正反対だと思った。
「もらっといてあげる」
「ほんと?嬉しいっ」
やんわりと彼女は笑った。
彼女の笑顔もまた花の様でアタシは何故だか胸が苦しくなった。
天ノ弱