俺の好きな奴は、どうにも俺の事を子供扱いしたいようだ。
確かに年齢不詳のメフィストから見れば俺は、まだまだ若く見えるだろう。
しかし俺だって華はないが男子高校生だ。
ませたいお年頃真っ最中なのだがメフィストは、もう外は暗いから帰りなさいと優しく俺の背中を押す。
くそピエロ、俺はまだお前と一緒に居たいのに。
「…まだ帰らねぇ」
「手のかかる弟だ」
メフィストが大きな溜め息をつく。その横顔は何度見ても綺麗だと思う。
憂いを含んでいるというか、なんともいえない色香が宙を漂うのだ
通った鼻筋に妖しげな瞳、その全てが俺を虜にしたのかもしれない。
メフィストは俺の隣に腰掛けて肩を抱いた。
俺もそれに応えるようにメフィストの薄っぺらい胸に寄りかかる。毎度、思うのだが、メフィストは少し痩せすぎだ。
そのくせ力はあるのだから、世の中ってものは矛盾している。
「私が何故、君を早く帰らせるかわかります?」
「…わからん」
「でしょうな」
クスクス、と至極愉しそうに目を細めた。
整った顎髭を撫でながらメフィストは俺の耳元で囁く。
「私、夜になると怖ーい狼になるんですよ」
低く甘い声色のせいで、じんと下っ腹が熱くなる。
狼か、確かな。
あながち間違っちゃいない。
「なら俺は、その狼に会ってみてぇんだけど」
「どうなっても知りませんよ」
すきでガキやってんじゃないやい
title にやり