※シュラが突然男になっちゃいましたよ設定
胸が軽いと、こんなにも動きやすかったのかとアタシは思った。
余分な肉がなくて硬く筋ばった手足。
どれも普段のアタシにはないもので不思議とワクワクした。
そして何よりも楽しいのが、こうして眼前にいる燐を見下ろす事だ今まで同じ目線、もしくはアタシが燐を多少見上げるようだったが今は違う。
(こいつ睫毛、なげーなぁ)
男のくせにアタシよりも長い睫毛に大きな瞳。
ちょっとばかし羨ましいと思うがアタシなんかより燐の方が似合っているのなら、それでもいい気がするもんだから、また不思議なもんだ。
それに比べて弟の雪男には可愛げの一つも存在しない。
生意気な部分だけは一人前だが。
アタシはコイツの母親を知らないが大層、美人だったのだろう。
そんな事を柄にもなく考えていると燐が退屈そうにアタシを覗き込んできた。
「おい、シュラ。修行しようぜ!修行!!」
「そう急かすにゃって、アタシだって疲れてんだぞ」
「男の見た目でアタシとか言うなきもい」
「んにゃろ…」
アタシは重い腰を上げ、再び燐を見下ろす。
男の体のアタシの身長は雪男くらいあるせいか、燐が気圧され後ずさった。
「びびってんのか、可愛いにゃ」
「うっせぇ!!」
顔を真っ赤にして燐はアタシに飛びかかってきた。
雪男は燐のこんな表情を毎日見れるのか、と思うと少し羨ましい。喜怒哀楽がはっきりしていて面白いほど素直だ。
「燐!アタシと遊ぼぉか♪」
「修行だって何回言えばいいんだよ!!ばかシュラ」
見下ろす楽しさ