・数年後設定
・祓魔師で同棲してます
・ぬるいけど注意!
任務後にこの坂を登るのは正直とても大変や、と勝呂は何度目かの溜め息を吐いた。
急な坂が終わるとおもいきや、次に待ち構えているのは長い長い階段だ。
この過酷な帰路に勝利すれば、高台にある古ぼけたアパートに到着する。
高台から見る正十字の景色はいつ見ても最高だ。
正十字学園が真ん中に大きくそびえ立っている。
ふと、学生の頃の記憶がぼんやりとだけ頭を過った。
「もうひと踏ん張りや」
勝呂は鞄を持つ手を交換し、階段を駆け上がった。
***
錆びかけたドアノブを回す。
重たい扉が開く。
室内は暖かい西日に包まれていた。どこかレトロな雰囲気を醸し出すのも、このアパートが古いせいだろうか。
別に嫌いではないが。
ひとまず重い鞄を床に置き元々はリビングであったが今は寝室に変わってしまった部屋に向かう。
最近では寝室でベッドで寝る事すら面倒でリビングに布団をひいて雑魚寝をする日々が続いていた。
「…勝呂かぁ?おかえりー」
ぼさぼさの髪を掻き毟りながら燐は勝呂に抱きつく。
くんくんとコートの匂いを嗅いでいる姿は、じゃれついてくる犬、そのものである。
タバコくせぇ、と燐が顔をしかめた。
「任務の後の煙草は格別なんや」「でもまぁ…勝呂の匂いって感じがして俺は好きだな」
燐が勝呂のコートに手をかける。お疲れ様、とでもいうかのように優しく脱がしていく。
勝呂にとってこれは燐からの任務を頑張った、ご褒美のようなものだ。もちろん勝呂が休みの日には任務から帰ってきた燐にも同じ事をしてやる。
「すぐろ、ちゅう」
燐が勝呂にキスをせがむ。
このように燐が甘える事は滅多にないのだ。
いつもツンケンしていてデレがない。
兎も角だ、仙人掌のような燐が甘えてくるのに無視するわけにもいかず、勝呂は燐を引き寄せる。
ちゅちゅと啄むようなキスの雨。時折、燐の蕩けた吐息のような声が聞こえる度に、そそられた。
「あっあっ、すぐ、ろぉ」
異常なほどまでに甘えて素直な燐に不覚にも可愛いと思った。
何か企んでいるのではないか、と探りを入れようかとも思ったが止めた。
こんな燐を放っておけるはずもなく勝呂は、そのまま床に押し倒した。
「奥村が悪いんやで」
白い首筋に吸い付くと燐は感じたのか、大きく仰け反った。
シャツの裾から指を忍び込ませ胸の飾りを弄る。
指の腹で何度も押したりして刺激を与えるのだ。
みるみるうちに燐は涙目になっていく。
「やっ、すぐ、ろ…」
潤んだ瞳からは早くして、と訴えられている気がした。
焦らすからこそ面白味が湧くのだが今日は何故か、そういう気分になれず燐を自分の膝に乗せた。
荒い吐息に我慢ができない。
燐の太股を持ち上げ、自身を宛がう。
「っ、ぁああ、あ…!」
ず、と腰を進める度に燐は艶っぽい吐息を漏らす。
きつく締め付けてくるのか、勝呂の表情が歪む。
感じる箇所を掠められ燐は、がくがくと身体が震え絶頂を迎える事を告げる。
「っりゅ、じ、も…むりぃ」
燐はほんのたまにだが、勝呂の事を名前で呼ぶのだ。
慣れてないせいか言われる方も恥ずかしくなり、中のものが膨張する。
ちくり、と背中が痛んだ。
燐が爪を立てて、達するのを我慢しているようにも見えた。
変なところで意地っ張りなのは、お互いよく似ていて。
いつの間にか暗くなった部屋で明日の任務など、すっかり忘れ二人溺れた。
黄昏時の×××