渡部からバトンを受け取った後藤は、すぐ後ろだった4組を引き離してグングン走っていく。
「バカ、とばしすぎでしょ。400メートルだよ!?」
そんなあたしの心配をよそに、一向にスピードが落ちていない。
一周したところで後藤は、陸上部のエースだった岡くんと並んでしまった。
そして、笑みを浮かべながら、ギリギリ岡くんより速くゴールした。
「半周以上も離されてたのに……」
……人間じゃない。
苦しそうに肩で息をしながらもピースなんかしちゃってる後藤。
「、はあ、はあ、……だから言ったろ」
「……え?」
「心配いらねぇって」
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