「新見」
「あ、後藤、……ごめん」
申し訳なくて、俯いてしまう。
後藤はアンカーだから。あたしがこけたことによって、迷惑がかかった。あたしのせいで負けるかもしれない……。
「なに謝ってんだよ」
顔をあげると、後藤のいつもの楽しそうな笑顔じゃないちょっと怒った顔。
「後藤……?」
「まだ負けてねーんだよ」
「っ、でも……、」
一位の1組とは半周以上離されて、二位の4組とは20メートルくらい離されている。
あたしが言える事じゃないけど……
「ムリ……」
「……じゃない。頑張ってる、アイツ」
3組の第三走者の渡部は、必死になって追いつこうとしてる。
300メートルをずっと全力疾走なんか出来ないはずなのに、しんどいはずなのに、走ってる。
「……あ、」
「っしゃ!! ナイス渡部!!」
渡部は、4組を抜かした。
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